12月31日の大晦日。
静岡駅で、私服姿の女子高生である桜子はコンコースで在来線ホームから出てくる人たちを見ていた。
桜子は白いブラウスとスカートの上にクリーム色のコートを着て、キラキラ光る髪飾りをしていた。
そして桜子の同級生である博正が階段を下りてきて桜子を見ると微笑んだ。
「お待たせ!」
「待ってたよ。」
桜子の美しい容姿や服装に見惚れてしまう博正。
そして桜子は博正と手を繋ぎながら歩いていく。
「今夜いよいよか!楽しみだね!」
「うん、そうだね!」
今夜、2人は夜の8時に静岡駅を出発する夜行列車
「カウントダウンエクスプレス」
に乗り、車内でカウントダウンを楽しんだり、翌朝に瀬戸内海で初日の出を拝んだり、四国の高松を散策するというイベントに参加する。
カップルには人気の高いイベントだが、桜子と博正は抽選に当たることができた。
まだ時間は午後1時で、出発まではたっぷり時間があるので2人はそれまで市内でデートを楽しむことにしていた。
楽しみの前にまた別の楽しみがある。
2人は最高の楽しみを満喫していた。
冬の装飾が綺麗な街の中を歩いたり、カフェでゆっくりしたり。
しばらく街を散策していても、時間はいくらでもあった。
そのうち2人は大きな遊具などがある公園に着き、ベンチに座ってしばらく話していた。
「次、どこ行きたい?」
2人は和気藹々と話していた。
そのうち博正はトイレに行くと行って、その場をあとにする。
桜子は1人ベンチに座ってスマホを見ていた。
すると、桜子に近づく謎の男。
桜子は気配に気づき、顔を上げると
「奇遇だね。どうしたの?」
何の警戒心もない桜子だったが・・。
数分後。
そのあと、博正が戻ってきた。
男子トイレで個室に入っていて多少長かったかなと思いながらもベンチに向かった。
するとそこには桜子がいなかった。
博正は、桜子もトイレかなと思ったがいつまで経っても戻って来ない。
どこに行ったんだ?
少し不安になる博正。
・・・
その頃、桜子は白い車の後部座席にいた。
「ねぇ、一体どうする気なの?」
同じく後部座席には、同級生の古川がいた。
古川はイケメンで成績優秀、スポーツ万能で金持ちというハイスペック男子だった。
「ちょっとあなたたちに僕のゲームに乗ってもらうだけです。」
「どういうこと?」
古川は答えなかった。
運転席には大村という古川の相棒である中年男性が車を運転していた。
・・・
博正は桜子がどこに行ったか公園や近くを探していた。
そんなときである。
桜子からラインが来た。
「何だ、心配かけて・・」
と思いながらラインを開くと。
「お前の彼女は預かった。彼女と今夜楽しい旅に行きたいなら、列車の発車時刻までに彼女を探して見ろ。」
という内容で、何かの冗談かと思いながらも、不安になる博正。
博正は桜子のラインに電話をかけた。
・・・
桜子のスマホはテーブルの上でブルブルと振動していたが、誰も取ろうとしない。
その頃、桜子は古川の住むマンションにいた。
桜子は身体の拘束はされてなく、テーブルにある椅子に座っていた。
テーブルには暖かい飲み物も用意されていて悪い扱いではなかった。
桜子はしばらく黙っていたが、
「ねぇ、どうするつもりなの?」
「彼、博正くんがあなたの恋人として相応しいか試しているんです。」
「そんなのいらないし。早く私を帰してくれない?」
「そうはいきません。僕はあなたを博正くんに取られてしまうのが納得できないんです。それなら博正くんを試してあげようかと・・」
「私たち、8時の列車に乗るの。だから、それまでには帰してくれるよね?」
「そうなるとは限りませんよ?」
「えっ!?」
「そこがポイントなんです。博正くんがあなたと列車に乗るその時刻までにあなたを見つけてることができるか・・」
「できなかったら、まさか?」
「そう、あなたたちの旅行計画は水の泡です。」
「そんなのひどい!」
「だから、彼があなたを見つけることができるか、そこにかかっているんですよ。」
・・・
その頃、博正は桜子がいなくなった公園を調べ、何があったのか推測していた。
あたりは繁華街で人通りも多い。
何者かが桜子を連れ去るにしても、誰かに見られる可能性は十分にある。
ということは桜子とある程度親しい人が騙して連れ去ったか。
また短時間で遠くに連れ去るには車がないと難しそうだ。
ということは、大人が犯人か共犯なんだろうか。
桜子と親しい関係で車のある人物。
まさか・・
博正は、同級生の古川にライン電話をかけた。
古川はすんなり電話に出た。
「はい、古川ですが。」
「古川!今日俺と一緒にいた桜子がいなくなったんだが、何か知ってるだろ?」
「よく気づきましたね。そうですよ。僕が桜子さんを預かってます。」
すると古川は桜子にスマホを近づけたのか、桜子の声で
「博正、早く来て。」
「桜子!どこにいるんだ。」
「博正、私は・・」
すると古川が急に電話をかわり
「そう焦らないでください。いいですか。今から言うことを聞いてください。」
「何だって?」
「あなたたち、今日の夜に列車で旅に出るんでしょう?桜子さんと楽しい旅がしたいなら、時間までに桜子さんを見つけてください。」
「桜子はお前んちにいるんじゃないのか?」
「人の家などの勝手に入れない場所にはしません。あなたたちの知っている場所のどこかに桜子さんがいます。彼女を見つけられたらあなたたちの勝ちです。」
「見つけられなかったら、どうするつもりだ?」
「僕は桜子さんを預かっているとはいえ、彼女の体を傷つけたりだなんてそんなことはしません。ただ、もしあなたが桜子さんを見つけられず列車に乗れなかったら、桜子さんは僕と一緒に年末を過ごしてもらいます。」
「何だって?桜子をどうするつもりだ?」
「それは想像に任せますが、次の日には桜子さんを家に帰しますので安心してください。」
「安心なんてできる訳ないだろ!」
「じゃあ、探してみてください。」
そして電話が切れた。
・・・
そのあと大村の運転する車に古川と桜子が乗り、隠れ場所に向かった。
桜子は不安を感じながらも、何が起きるのかドキドキしている面もあった。
大村の運転する車は静岡市内を西に向かって進み10分も走ると市民ならまず知っているコミュニティセンターが見えてきた。
そこは講演会や音楽会などで使う大小いくつかのホールがあるコミュニティセンターで、桜子はピアノの発表会や吹奏楽部の演奏会などで何度も来たことがある。
まさかこんな場所だなんて・・。
その中でも、吹奏楽部の県大会で演奏した第3ホールは特に思い出のある場所だった。
勿論、演奏会には博正も来てくれた。
そんな思い出の場所が隠れ場所になるとは・・。
古川は、このゲームのために広い第三ホールを貸切にしていた。
大晦日で演奏会はなどは無いとはいえ、借りるとなると結構お金がかかるだろうに・・。
本当にお金持ちの考えることは分からないと感じる桜子だった。
桜子は思い出の場所を古川の勝手なゲームのために使われることに不満を持っていたが、一方で博正がここを覚えてくれているか試してみたい気持ちもあった。
・・・
その頃、博正は桜子を探すために自転車をとばして奮闘していた。
高校の校舎、学校の行き帰りの道、店やショッピングモール、デートで行った場所など。
桜子はどこにいるのか。
あちこちを回って探していた。
どんなに急いでも時間は容赦無く過ぎていく。
町中を回ると同時に、今までの桜子との思い出を振り返るようでもあった。
思い出しているうちに切なくなることもあった。
そして何があっても桜子を見つけると決めていた。
博正が動くに連れて、どんどん暗くなっていく空。
ありとあらゆる場所を探しても桜子はいなかった。
列車が出るまであと3時間足らず。
外はすっかり暗くなっていた。
・・・
その頃、コミュニティセンターの第三ホールでは、優雅なピアノの音が響いていた。
ステージの上でグランドピアノを弾く桜子は、白いワンピースを着ていることもあって、ピアノの音と調和し美しく品のある雰囲気を醸し出していた。
桜子は、ドビュッシーの「月の光」という曲を弾いていた。
はじめはゆっくりで途中から速くなっていく難曲である。
速さが変化しながらも、終始月の光のような優雅さを奏でている。
大晦日の夜にふさわしい曲だった。
唯一の観客である古川はホールで椅子に座り、桜子のピアノの音をゆったりと聞いていた。
桜子のような綺麗な少女が、難しいピアノ曲を弾くのは何とも優雅だった。
そのあとも桜子は何曲もピアノを弾き続け、さながら演奏会のようであった。
・・・
外は少し雨が降ってきた。
博正は息を切らしながら自転車をこいでいた。
列車が出るまであと2時間。
心当たりのある場所は端から端まで行ったが桜子は見つからなかった。
そもそも古川の言う2人が知っている場所というのは本当なんだろうか、最初から桜子を奪うために無理難題を課したのではないか。
だがそうは言っても、桜子を見つけない限りはどうにもならない。
博正はずぶ濡れになりながらも必死に探していた。
・・・
その頃、桜子は古川とともにひと休憩した。
暖かい紅茶や生菓子を楽しむ2人。
「素晴らしいですね!どの曲も最高でしたよ、桜子さん。」
「ありがとう!古川がずっと聴いてくれたから私もやり甲斐があったよ。」
桜子はケーキを口にしながら古川に微笑んでいた。
そしてしばらく話したあと、桜子はホールの時計を見た。
「あと1時間半か、8時に静岡駅のホームにいないといけないことも考えると時間はかなり厳しいね。」
「桜子さん、もうあきらめませんか?」
「え?どういうこと?」
「あなたを無条件に解放します。このままでは列車に乗り遅れてしまうし。博正くんは負けということになりますけど、別にペナルティとかありませんし、博正くんをこれ以上苦しめるのも可哀想です。」
「え、でも・・」
桜子は考えたが、それでも彼女の気持ちは変わらなかった。
「私は待つよ。たとえ博正が絶対に間に合わない時間にここに来るとしても。私は博正を信じていたいの。」
穏やかな言い方だったが桜子の決心は強かった。
古川は桜子の言葉に驚きながらも、暖かく見守っていた。
・・・
そして1時間を切った。
博正はずぶ濡れのまま荒い息で自転車を押していた。
あたりは真っ暗で、雨が容赦なく降り注ぐ。
もうだめだ・・
そんなとき、目に浮かんだのは桜子の笑顔だった。
綺麗なドレス姿の桜子に、演奏の感動を伝えたあのとき・・。
そうだ!コミュニティセンターだ!!確か第三ホールだったか??
博正は疲労も忘れて自転車にまたがり飛ばして行った。
博正が今いる場所からコミュニティセンターは距離があるが博正は必死に自転車を飛ばした。
・・・
桜子はホールの時計を見ながら、だんだんと焦ってきていた。
列車の出発まであと40分。
博正が来るか以前に、ここを出発しないと間に合わなくなる時間だった。
古川は黙って桜子を見ていた。
・・・
博正は広い道路沿いの道を急いだ。
雨で濡れているのでリスクもあるが、それでも飛ばした。
時間はあと30分。
桜子と会えたとしても、列車に間に合うかどうか・・。
・・・
桜子は時計を見るとあと20分だった。
博正が来るか分からないし、来たとしても間に合わないかもしれない。
秒針だけが刻々と進んでいく。
あと15分・・もうだめか・・
そのときだった。
ホールの扉が開いて、博正は桜子を見た。
「桜子!ついに来たぞ!」
そう言うとひはそこに座り込み、息が荒くなっていた。
桜子は博正の方へ駆けていった。
「博正!大丈夫?」
「桜子・・ごめんな。もう間に合わないよな・・」
「いいよ!博正が覚えていてくれて、それで十分だよ!」
桜子は目に涙を浮かべて博正を抱いた。
桜子の後ろに立っていた古川は
「大丈夫です。間に合いますよ!」
「え?」
桜子が振り向くと、第三ホールの非常用の扉が開いて、大村が笑顔で手招きした。
非常扉のすぐ先は駐車場だった。
古川と大村で博正を抱えて全員が車に乗り込む。
そして大村は手際よく車を動かし、7分前には静岡駅に着いた。
「じゃあ桜子さん、博正くん、楽しんできてください。」
「うん!ありがとう!!」
車の中で少し体力の戻った博正は、桜子と寄り添いながらも駅に入っていった。
そして、ホームに着くとほぼ同時にカウントダウンエクスプレスの寝台列車が駅に入ってきた。
間一髪で列車に乗ることができた博正と桜子は顔を見合わせて笑った。
部屋はツインの部屋でベッドが2人ある。
部屋に着いて荷物を置くと、列車は安倍川の橋梁を渡っていた。
そのあと車掌が来て車内の検札が終わると、もう2人の時間だった。
・・・
「5・4・3・2・1・ワーッ!!」
車内放送のカウントダウンとともに列車のあちこちから歓声が上がった。
「明けましておめでとう!」
「おめでとう!!今年もよろしく!」
博正と桜子は抱き合って喜んでいた。
そして熱いキスをする。
2人はずっと一緒だった。
そして、博正と桜子はお互いに服を脱いだり、脱がせたり。
走行音の響く電気を消した列車の中で。
2人は身体を重ねていた。
仰向けの桜子の体の上に博正が乗り、桜子の胸の谷間に顔を挟んだり、谷間で顔を転がすように動かしたりしていた。
そのあと博正は桜子の乳房を掴んだり、乳首を指で転がしたりしていた。
桜子は目を閉じて至福のひとときだった。
桜子も博正の乳首に触れたり、逸物を手で撫でたりした。
お互いの体を揉み合いながら、濃厚にキス。
2人は舌を絡ましあって悶えていた。
そして博正はゴムのついた逸物を桜子に挿入した。
「あっ、あっ、あっ・・」
博正は桜子の中でピストンしながら、胸を揉んだりしていた。
列車の中なので大きな声は出せず、それゆえに興奮が隠せない桜子。
博正は貪るように桜子と繋がっていた。
そして、絶頂を迎えると
「あっ、あっ、あっ!いい!いい!」
桜子はいやらしく喘いでいた。
そのあとも2人は延々と絡ましあっていた。
・・・
翌朝、外が少し薄暗くなった頃
「おはよ、博正!」
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博正が目を開けると、目の前には裸の桜子がいておっぱいや陰毛が丸見えだった。
2人は気がついたら眠っていたようだった。
外は薄暗いが、もうすぐ初日の出を見る時間だった。
2人は急いで服を着た。
そして寝台列車は海沿いの田舎駅に停車した。
この駅は瀬戸内海の海のすぐ近くにあり、日の出が見えることで有名な駅だった。
列車が止まると、初日の出を見るために多くの乗客がホームに降り立つ。
桜子も博正と手を繋ぎながらホームに来た。
外はやはり寒く、海からの冷たい風も辛い。
外はだんだんと明るくなっていた。
そして、空が急に明るくなり
「見えた!」
歓声が上がった。
「綺麗だね!」
空をオレンジ色に染めて新年の日が初めて登る瞬間だった。
博正と桜子は手を繋ぎながらずっと空を眺めていた。
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『あしはら刑事(35歳・♂)』さんからの投稿です
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