両親が共働きであったため、私は幼稚園ではなく保育園に通っていた。
保育園は幼稚園と違って夕方まで園児を預かる。
そして、給食のあとは2時間ほどのお昼寝があった。
私はその頃からませた子どもだった。
ませた子どもは、他のませた子どもがわかる。
なんとなく通じるのだ。
私は、自分で言うのもなんだがませた男の子達からモテていた。
「延長保育」と言って、親の仕事等の都合によって開園時間後も園を開放する制度があったが、私はそれに該当する園児だった。
そして、同じような園児と暗くなり始める時間まで一緒に遊んでいた。
延長保育の時間、私は仲の良い男の子とよく遊んでいた。
女の子の友達は、みんな比較的早く帰宅していたのが理由だ。
ある日、たかしくんという仲の良い男の子がこんなことを言い出した。
「裏のさ、庭に行かない?」
私は快諾した。
裏庭は先生の目があまり届かず、ちょっとスリルを感じた。
たかしくんに促されるまま私達は裏庭へ行った。
たかしくんは、私に
「ちゅーしていい?」
と聞いた。
私は
「ちゅー」
の意味は分かっていたが、なんとなく恥ずかしかったので
「え~?」
と躊躇っていた。
しかしたかしくんは素早く私にキスをした。
頭が真っ白になる思いがした。
他人のくちびるがあんなにも気持ちいいとは思わなかった。
そして私達はすぐにディープキスを楽しんだ。
それから、たかしくんと私は、先生の目を盗んでは裏庭へ行き、お互いのくちびるの甘さを確かめ合う仲になった。
ある日、お昼寝の時間に私とたかしくんは隣同士の布団に寝ることになった。
説明しておくが、園児らはそれぞれ自分の枕を園に置いており、お昼寝の時間の前になると、その日の当番さんが枕をランダムに布団に置いていくのだ。
そしてその日、たまたまたかしくんと私の枕が隣に並んだのだ。
お昼寝の時間は、先生が絵本を読み聞かせしてくれる。
みんな、すぐに眠りにつき、時には先生もまた一緒になって寝てしまう。
普段からあまりお昼寝の時間も寝付けなかった私は、先生の読み聞かせる声が途絶え、教室全体が静まりかえった頃になってもぱっちりと起きていた。
そのとき、隣で寝ているはずのたかしくんが私の方へ手を伸ばしてきた。
驚いたが、心の何処かで喜んでいた。
こうなることを望んでいた。
反応した私にたかしくんも驚いていたようだったが、私達は掛けられた布団の下でお互いの身体をまさぐりあい始めた。
主に、パンツの中を。
セックスについての知識はもちろん無い。
しかし、性器を触ることがいやらしいことであり、またそれが快感をもたらすということを私達は本能的に知っていたのかもしれない。
たかしくんは、私の割れ目を、私は、たかしくんの硬いものを、飽くことなく触りつづけた。
それ以来、たかしくんと私とのどちらかが枕を配る当番さんになると確信犯的に私達の枕を並べた。
もちろん、目的は1つだ。
そのうち、たかしくんは親の仕事の都合で引越し、もちろん保育園も退園していった。
私はそのことを少しだけ寂しいと思ったが、恋愛していたという訳でもなく、その寂しさはすぐに消えてしまった。
残ったのは、たかしくんとの
「あそび」
でおぼえてしまった快感への未練であった。
以来、私はそれが「自慰」であるとの自覚なく、オナニーを覚えていった。
毎晩、寝る前に性器を触るのだ。
ただ、それだけだった。
やはりセックスの概念がないためか、性器を触るだけで満足していた。
小学生時代は、その園児時代の体験のせいか、性に関してとても強い関心を持った子どもだった。
そんな私が、セックスというものを初めて目の当たりにしたのは、小学校5年生の頃、友達の家で見たアダルトビデオだった。
友達のお兄さんが持っていたビデオを、面白半分にみんなで再生したのだ。
みんなは
「エロ~い」
などと言い、ふざけあっていた。
私ももちろん軽口を叩いたが、内心はとても興奮していた。
あんなにいやらしい行為があるのだ、と喜びさえ感じていた。
以来、私のオナニーはただ漠然と性器を触るというものから、はっきりとセックスを意識したものへと変化していった。
同じ頃、私に初潮が訪れ、身体そのものも大人への変化を始めていた。
胸は、既にCカップあった。
近所には、毎日のように下校を共にする男の子がいた。
恋愛感情があった訳ではない。
ただ、彼―あきおくん―は頭が良く、話も合い、また同じクラスということもあり仲が良かったのだ。
その日も、私達は一緒に帰っていた。
そしてあきおくんはこう言い出した。
「俺、家帰ってからおまえんち行っていい?りょうくんと」
りょうくんとは、私が密かに思いを寄せていた、やはり同じクラスの男の子だった。
そのりょうくんが、私の家に来る、と思っただけで単純に嬉しかった。
私は
「え~どうしよっかなぁ」
と小学生らしい照れを見せながらもOKした。
そして約束通り、あきおくんとりょうくんはうちを訪ねてきた。
私の両親はそのときもやはり共働きだったので、家の中には鍵っ子だった私だけだった。
私達は、小学生らしく3人でゲームをしたり学校のことを話したりおやつを食べたりしながら時を過ごした。
片思いをしていたりょうくんと一緒にいる、と思っただけで私はとても楽しかった。
しかし1時間もしないうちに、地域のスポーツクラブに所属していたりょうくんはうちを後にして練習へ行ってしまった。
あきおくんと2人になった私は、少しだけがっかりしながらも、残ったのがりょうくんではなくあきおくんであったことにホッとしていた。
りょうくんと2人だとうまく話せないかもしれないからだ。
コタツに入っていた私達はゲームを続けていた。
するとふいに、正座していた私のモモに、寝転んでいたあきおくんが頭を寄せてきた。
「ひざまくら、楽ちん~」
と言うあきおくんに、私はちょっとドキドキしていた。
男の子にひざまくらなんて、初めてだったからだ。
そのうち、あきおくんはゲームをする手を止めた。
そして、こう言った。
「ねー、エッチなこと、したい」
一瞬、その意味を捉えかねたが、私はすぐにうなずいた。
エッチなこと。
保育園の頃よりははるかにそのことを分かってはいた。
しかし、どうすればいいかは分からない。
戸惑っている私のスカートの中に、あきおくんは手を差し入れてきた。
太ももをなぞり、パンツのゴムに潜り込む手。
私は正座していた足を崩し、絨毯の上に身体を横たえた。
あきおくんは、私のスカートをめくった。
「ん…」
声が漏れる。
「ねえ、脱ごっか」
とあきおくんが言う。
あきおくんと私は身体を起こし、お互いの服に手を掛け合った。
小学生の私にとって、男の子に自分の身体を見せるのはとても恥ずかしかった。
しかし、その恥ずかしさを越えるほどの「エッチなこと」への強い好奇心が私を突き動かしていた。
ブラジャーを見たあきおくんは、
「おまえ、やっぱブラジャー着けてるんだね。男子が噂してたから」
と言った。
私は火が出るほど恥ずかしかったが、
「うん」
とうなずいた。
裸の胸を見られるのが恥ずかしかったので、下着姿のままコタツの中へ身を入れた。
「なんで隠すの、見せてよ、おまえ、クラスで一番胸大きいよな」
あきおくんが後ろから腕を回してくる。
あきおくんも上半身を露にしていたので、私達の裸の肌が触れ合い、そのことが私の頭を狂わせた。
あきおくんが、ブラのホックを両手で外すのを背中に感じた。
決して器用ではないその手つきが、なんだかいとおしかった。
「こうなってるんだ」
とあきおくんは外したブラをまじまじと眺めていた。
「あんまり見ないでよ」
と言う私に、あきおくんは
「キスしよう」
と言った。
私達は、そのとき初めてくちびるを重ねた。
保育園の頃のたかしくん以来の口づけだった。
そのキスは、すぐに濡れたものになった。
舌を入れ、舌を吸い合い、粘膜の味を楽しんだ。
随分長い間、キスをしていたように思うが、どれくらいだったかは分からない。
とにかく、お互いのくちびるを求め合った。
そのうち、あきおくんの手が私の胸に置かれた。
私は何とも言えない喜びを感じていた。
あきおくんはくちびるを離し、代わりに私の上で腕立て伏せをするように身体を起こして私の胸におそるおそる口づけた。
胸への優しいキスは、すぐに激しい愛撫へと変わった。
ぴちゃぴちゃ、と音を立てて乳首を吸われ、私はますます真っ白になっていく自分を感じていた。
腰の周りに広がる、じんわりとした感覚。
むずむずと落ち着きをなくしていく。
パンツの中へ入れられる手によって、その居心地の悪いむずむずは解消される。
それを求めていた。
ずっと、誰かに触られたくてしょうがなかった。
性器に触れられるスリルと快感が一緒くたになって私の身体に押し寄せる。
「…ぬるぬるしてる…」
あきおくんが、つぶやいた。
パンツを引き下げられ、そしてあきおくんも自らトランクスを脱いだ。
あきおくんの下腹部にくっつきそうなくらいに起立しているそれは、とても大きく見えた。
「俺のも」
と言ってあきおくんは私の手を自分のそこへ導いた。
おそるおそる触れると、それは私の手に少し余るほどの大きさだった。
少しだけ握ってみるとそれは硬い弾力を持って私の手に感じられた。
ゆっくりと扱いてみた。
皮と身との摩擦を、私は本能的に知っていた。
あきおくんは、
「あ、気持ちいい」
と吐息した。
お互いに少しだけ生えている陰毛をつまんだりもした。
あきおくんは、私の愛液を自分のものの先に塗りつけていた。
「それ、気持ちいいの?」
と言うと
「うん、ぬるぬるしている方が気持ちいい」
と言った。
セックスとは、ペニスを私のあそこに入れることである、とは知っていた。
しかしそのときは、そのことが信じられない思いだった。
あきおくんのこれが、私のここに入る?
それは、とても、本当にいやらしい行為のように思えた。
「セックスって、これを○○ちゃん(私の名前)のここに入れることだよね」
あきおくんは言った。
あきおくんも知っていた。
けれど、入れてこようとはしない。
「ぬるぬるしてたら気持ちいいから、ここに入れたら気持ちいいよね」
私はそんなことを言った。
入れて欲しかった。
けれど、アダルトビデオを見たにも関わらず、どんな格好をすればペニスがここに入るのか、私はさっぱり見当がつかなかった。
ビデオの中ではフェラチオしているところもあったのだが、私にはそれはできなかった。
だから、入れたらいい、と思ったのだった。
「入れてもいい?」
あきおくんが訊いてきた。
私はうなずいた。
けれどやはり、どうすれば入るのかは分からず、ただ寝転んでいただけだった。
「じゃあ」
あきおくんがまた身体を起こした。
「入れるね?」
あきおくんの膝が、私の両足を割った。
あっ、と思った。
「や、恥ずかしい」
私は足を閉じた。
あきおくんの腰を挟む格好になった。
「だめだよ、入らないじゃん」
あきおくんは私の足を持ち、開き、膝を折った。
あきおくんのものが、私の入り口に触れた。
ああ、そうか、こういう格好すれば入るのか、などと冷静な自分もいたが、私の頭の中は、あきおくんのペニスが触れた快感でいっぱいだった。
びっしょり濡れていた私に、あきおくんは抵抗無く入ってきた。
あきおくんが侵入し、私達の腰がぶつかりあった瞬間、快感は絶頂に達した。
「あ…」
お互いのくちびるから声が漏れた。
何度か、腰をぶつけあった。
くちゅん、と音が響いた。
ぱん、と肌がぶつかりあう小さな音も。
「ん…はっ…」
と、声にならない声も。
しかしそれは、3、4度ほどだけだった。
あきおくんの動きが止まったのだ。
あきおくんは、私の上に崩れてきた。
「だめ…イっちゃった…」
苦しい息の中、あきおくんはそう言った。
いっちゃったって、どういうこと?
私は思ったが、口には出さなかった。
あきおくんはとても気持ちよくて、気持ちよすぎて動けなくなったんだ、と思った。
私の胸の上で息を上げているあきおくんを愛しく思い、私はあきおくんの背中を抱きしめた。
しばらくそうしていると、あきおくんが私の中からあれを引き抜いた。
ちゅっ、と小さな音を立ててそれは私から離れた。
私も身体を起こすと、私の入り口からこぼれるものを感じた。
生理になったのか、とあわてて腰を浮かすと、白濁した液体が太ももをつたった。
「なに、これ?」
悲鳴混じりの声を上げると、あきおくんが
「精子だよ」
と教えてくれた。
「精子って、あの精子?」
あきおくんはうなずいた。
精子について、なんとなく知っていた。
赤ちゃんができるときに、関係するもの。
けれどそのとき、私は
「エッチをすると男の子は精子を出すんだ」
という驚きが強く、妊娠の危険性についてはなにも感じなかった。
もう生理のある年齢なのに。
私達は、こぼれた精液を拭い、ちょっとだけついてしまったコタツ布団は水をかけて揉み、証拠隠滅を図った。
この行為が親にばれたらいけない、ということは知っていた。
時計を見ると、5時半だった。
私はなぜか、この時刻を鮮明に覚えている。
あきおくんは、私の家をあとにした。
玄関まで見送りに行った私に、また長いこと深いキスをして、
「じゃあね、また学校で」
と帰っていった。
あきおくんが帰った後、私は保健体育の教科書を開き、精子について調べた。
そして、精子が入ると妊娠してしまうこと、それを防ぐためにはコンドームという物を使わなければならないこと、がわかった。
私は焦った。
どうしよう、赤ちゃんができてしまう、と思い、動揺した。
そして、ドラマで見た
「生理がないの」
というシチュエーションと結びつき、生理が来たら妊娠じゃない、と思い、生理来ますように、とすがるように祈った。
しかし杞憂に終わった。
その日のうちに生理になったのだ。
性に関して興味が発達した私は保健体育の生殖に関する部分は読んでいた。
しかし妊娠するという概念については興味が乏しく、ただ、男の人にはペニスがあり、それを女の人の膣に入れることがセックスというものだ、という認識だけしていた。
この日を境に、妊娠という概念が私の中に芽生えた。
そして、避妊という概念も。
私は貯金箱を空け、コンドームを買いに走った。
ドラッグストアの駐車場の端っこに、その自動販売機があることは知っていた。
そしてそれはちょっといやらしい物を売っているということも知っていた。
けれど、それはコンドームという物で、避妊に使うものだということは考えてもいなかった。
私は、車通りと人通りのないスキを見計らって、コンドームを買った。
家に帰ると、母が帰宅していた。
私はコンドームの箱がばれないよう、持っていた手提げを体の陰にしながら
「おかえり」
と言った。
「今まで友達の家に行ってたの」
とも。
自分の部屋に入ると、内側から鍵をかけた。
そして、買ってきたコンドームを開封し、1つをまじまじと観察した。
小さなゴム製品だな、というのが第一印象だった。
そして説明書のように装着してみたくなり、工作道具ののりの容器を出し、それにかぶせ、注意深く引き下ろした。
意外とすんなりとかぶせることに成功し、私は嬉しく感じていた。
そうか、これをおちんちんにつけてセックスをすると、あの精子がこれに出て、あそこの中には出されないんだ。
だから、赤ちゃんはできないんだ。
私は、避妊についてこうして学んだ。
次の日、いつもと同じようにあきおくんと下校した。
そして、ひそひそ話をした。
精子を身体の中に出すと、赤ちゃんができてしまうこと。
それを防ぐために、コンドームっていうゴムをおちんちんにつけてセックスすれば大丈夫なこと。
要点は、その2つだった。
あきおくんも、なんとなくは知っていたようだ。
ただ昨日は、自分でも驚くほどすぐに出てしまい、家に帰ってから私と同じように保健体育の教科書を見てビックリしたと言っていた。
私は、直後に生理がきたので
「大丈夫、赤ちゃんはできないよ」
と言った。
あきおくんは、
「そうか」
と言った。そして、
「生理ってどんな感じ?」
と訊いてきたので
簡単に教えてあげた。
それまでは、男子が生理のことをからかうと嫌な気持ちになったが、あきおくんにはすんなりと話すことができた。
そして、
「この生理が終わったらまたしよう」
と言った。
今思えば、小学5年生の私達がこんなことを話していたことがとても不思議なことに感じられる。
とても多感な時期であるにも関わらず、私達は秘密を共有することによって急速に親しくなり、性のことについてこんなにもオープンに話すことができていた。
だから、あきおくんは私の生理について理解を示し、からかう男子とは一線を画して「いい男」になっていた。
少なくとも私にとっては。
そして私も、あきおくんから聞く性についての話にたくさんのことを学んだ。
朝はあのときと同じように勃起すること、小学校に入る頃ぐらいからオナニーしていたこと、初めて射精したのは、朝の勃起のときで、夢から引きずり起こされるような感覚で気が付いたらパンツが濡れていたこと。
そして次からはそれを自分でできるようになったこと。
私も、自分で触ることを教えてあげた。
けれど、いったことはまだなかった。
その頃は、触って気持ちよくなることが「いく」のだと思っていた。
不思議なことに、あきおくんとは気まずくなることは全く無く、むしろお互いの生理について知ったことでそれまで以上に優しく接していた。
だから下校を共にすることもそれまで通りであり、別れ際にキスさえすることもあった。
1週間ほどして生理が終わると、私はすぐにあきおくんのことを意識していた。
セックスしよう、と思った。
まだ週休二日制じゃなかった土曜日、下校のときに私はあきおくんをうちに誘った。
「ご飯食べたらうちにおいでよ」
あきおくんは、すぐに返事をした。
私は、母が作っておいてくれたお弁当を食べ、シャワーを浴びた。
あれから、アダルトビデオを見せてくれた友達に冗談交じりで
「貸してよ」
と言ったら、本当にお兄ちゃんの部屋から1本持ってきてくれたので、それを1人でこっそり観た。
そこには、69があった。
私は、衝撃を受けた。
お互いのものを舐めあうなんて、
なんていやらしいのだろうと思い、あきおくんとしたら気持ちいいだろうと思った。
そのために、シャワーを浴びて待っていようと思ったのだった。
しばらくすると、あきおくんはうちに到着した。
30分ほどゲームをすると、どちらともなくキスを始めた。
そしてすぐに、お互いに裸になった。
挿入はせずに、肌の気持ちよさを確かめ合うように抱き合い、キスをし、性器を触りあった。
私は、
「ビデオを観よう」
と提案した。
「エッチなのあるんだ」
と。
あきおくんは興味を示した。
「エッチビデオって観たことある?」
と訊くと
「ない」
と言った。
私達は裸のままでビデオを再生した。
そこには、大人の男女のセックスが前戯からフェラチオ、69、正常位での挿入、バック、そしてフィニッシュ、と様々な形で描写されていた。
私達は観賞しながら、時々ビデオを一時停止させ、
「これやってみない?」
と真似てみたりした。
あきおくんが求めたのはやはりと言うか、フェラチオだった。
私はあきおくんのそれを気持ち悪いなどとは露ほども思わなかった。
むしろ、そう頼まれるのを待っていた。
私は、それを口に含んだ。
「あ、やばい、気持ちいい…」
あきおくんがため息を漏らすのを、私は心地良く思った。
「だめ、出るから」
と、あきおくんは私の口からそれを離した。
次に、69をした。
それが「69」という名前のついたものであるとはもちろん知らない。
けれど私達はその行為がとても気持ちの良いものであることは知っていた。
まず、あきおくんがクンニをしてくれた。
「濡れてる…」
あきおくんは
「ぬるぬる」
とは言わなかった。
後から聞いたのだが、あきおくんは私の生理の間、あきおくんの5歳年上のお兄ちゃんの部屋にあったエッチな雑誌を盗み読んではオナニーを繰り返していたらしい。
そして、女の人のあそこを舐めるという行為についてその雑誌で知ったと言った。
私は、あそこを舐められることについて少し怖いと思っていた。
なんとなく。
しかし、それはすぐにかき消された。
とても気持ちよかった。
くちびるとくちびるでさえあんなに気持ちいいのだ、あそこをくちびるで愛撫されるのが気持ちよくないはずがない。
私は、クンニされながら身体を移動させ、あきおくんのものを口に含んだ。
とても大きかった。
「入れよう」
とあきおくんが言った。
69は、実はすぐに終わった。
あきおくんがまた、
「だめ」
と言ったからだ。
今思うと、このときにあきおくんはフェラチオでいくこともできたのだが、きっとお兄さんの雑誌ですぐいくのはかっこ悪いとでも学んだのだろう。
「ちゃんとセックスしていく」
と言っていた。
私が
「コンドームつけて」
と言い、机の奥に隠していた箱を取ろうと立ち上がると、
「俺持ってきたよ」
とあきおくんはバッグの中から小さな巾着袋を取り出し、その中から本当にコンドームを出して見せた。
そして、包装を破り、私に背中を向けて装着した。
途中、
「見せて」
と言ったが
「だめ」
と言って着けるところは見せてくれなかった。
薄いピンク色になったあきおくんのそれを、私はとても可愛いと思った。
これも後から聞いたのだが、あきおくんは私と同じように自動販売機でコンドームを買い、2個ほど試し着けをしたそうなのだ。
そして、その2回とも、着けたままでオナニーしたとも。
私は横になり、このときはためらうことなく足を開いてあきおくんを迎え入れた。
とても気持ちよかった。
ビデオは、バックの姿勢に移っていたが、私達は正常位のままであきおくんのフィニッシュを迎えた。
しばらく、脱力しているあきおくんを前と同じように私は抱きしめ、しばらく待っていた。
あきおくんは身体を離し、コンドームのついたそれを抜いた。
私は、コンドームの先に溜まっている液体を不思議に思いながら見つめた。
「こうなるんだ…」
と口に出すと、あきおくんは
「あんまり見ないでよ」
と身体を向こうへ向けた。
あきおくんはコンドームを外し、ティッシュにくるんで棄てた。
そして、
「ふー」
とベッドの上に横になった。
私達は身体をくっつけあい、まだ整わない呼吸が収まるのを待った。
あきおくんのそれは、また大きくなっていた。
「もう1回してもいい?」
とあきおくんが訊いた。
私は、1日に何回もできるのかと驚いたが、
「いいよ」
と言った。
「今度は、こうして」
と、ビデオを巻き戻して、バックのところで再生した。
あきおくんは
「うん」
と、また新しいコンドームを装着した。
私達はその日だけで3回した。
どの回も、あきおくんはすぐにいってしまっていたが、私は気にならなかった。
早くいくことがださいとか、そんなことは知らない頃だ。
それよりも、あきおくんとセックスできることが楽しくてしょうがなかった。
以来、私とあきおくんは週に1~2度はセックスする仲になった。
けれど、恋愛感情と結びついていたかというと、今思うと疑問だ。
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しかし、その頃はお互いが必要だった。
身体はもちろん、一緒に同じ時間を抱き合って過ごす相手がいることの精神的充足を感じていたからだと思う。
私にとって、あきおくんはかけがえのない存在であったし、あきおくんもまたそう感じていたのだろう。
中学校に進学しても、そして別々の高校に進んでからも、私達のこの関係は、回数が減りこそすれ、崩れなかった。
その間、私達は一度も「好き」だとかの類の言葉は口にしなかった。
その証拠に、私達は中学と高校、それぞれに彼氏・彼女がいた。
しかし、その彼氏・彼女とは2~3度ほどしかセックスはせず、その代わりのように私達は身体を重ねた。
今、私達は大学生である。
お互いに地元を離れ、それぞれの場所でまた新しく恋人を作っている。
あきおくんとは、電話もメールもしない。
ただ、正月や長期休みなどに
「今度実家に帰るけど、そっちは?」
という短いメールを送りあう程度だ。
そして会い、当然のようにセックスする。
さすがに、この歳になって家に呼ぶのは親の目が気になるので、専らホテルで会う。
そして、何度も何度も、セックスをするのだ。
その合間に大学のことや共通の友人の話題に花を咲かせ、話が尽きたらまたお互いを求め合う。
そんなつきあいを、あきおくんとしている。
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