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俺は、勃起フルチンという情けない姿で呆然と立ち尽くしていた。
思わず、
「なんてことをしてしまったのだ」
と頭を抱えベッドのふちにヘタレ込むとあっさりとM美が戻ってきた。
さっきまでの裸に水着のボトムだけという姿だが胸の前には折り畳まれた赤いバスタオルを抱えている。
M美はそのまま窓に近寄りカーテンを閉め電気を消しヘタレ込む俺に、
「どいて」
と声を掛けるとベッドの上にバスタオルを丁寧にひろげた。
相変わらず勃起フルチンで立ち尽くす俺に向き直りゆっくりと両腕を胸から下ろし二つの膨らみを晒してくれた。
カーテンを閉めたとはいえ外はまだ陽が残っている。
M美の身体を鑑賞するには充分な明るさがあった。
M美はゆっくりと俺に近付き自分の胸を俺の身体に押し付けるように抱きつくと俺を見上げ、
「ゴメン逃げたと思ったでしょ?」
と微笑むM美に俺は声もだせず頷く。
「M美の初体験なんだよ、優しくしてね」
と真直ぐにみつめられた。
俺とM美は暫くの間向かい合ったまま抱き締めあった。
俺の顎の直ぐ下にM美の頭がすっぽりとおさまり髪の毛の香りに鼻孔をくすぐられる。
肩口から覗く真っ白い背中に先程までのブラヒモは存在しない。
たかがヒモ1本の差でM美のセクシーさが何倍にも膨れ上がる。
なめらかな素肌の感触を確かめながら背中の隅々まで指を這わす。
柔らかでツルツルとした感触の虜になってしまいそうだ。
M美の息遣いがうわずり始めたので、ふたたびきつく抱き締める。
陽に焼けた2本の腕が肌の白さを強調する。
M美の顔を持ち上げ唇の感触を味わう。
互いの顔を右に左に替えながら唇と舌を確かめあう。
顔の向きの変化に連動するようにふとももや胸の触れ合いに強弱がもたらされ全身で互いの肌を感じあった。
互いの脚をからませると俺のふとももに他とは違う柔らかさと弾力をたたえたまぁるい感触が水着の布ごしに伝わりM美の身体が瞬間的にビクっとする。
俺のチンポは300%状態でどうにもこうにもといった様相でM美のやわらかな臍下あたりに密着している。
ふと、先程の
『優しくしてね』
という言葉が脳裏をかすめ我にかえる。
まずい、俺ばかり楽しんでいる。
とはいえ俺だって童貞だ。
M美を上手くリード出来るとは思えない・・・。
と、とにかく落ち着こう。
唇を離しM美の横顔を胸で受け止め頬を撫でた。
頬を撫でる指先にM美の壊れてしまいそうなはかなさや脆さを感じ大切にしなくてはならない存在に思えた。
「俺も初めてなんだ、下手だと思うし優しく出来ないかもしれない。でもM美を大切にしたいと思ってる」
青臭いが偽わざる気持ちだった。
「もう充分伝わって来てるよ」
俺の胸に顔をうずめ、
「お姫様だっこでベッドに連れてって」
と甘えた声で囁かれた。
中学高校とサッカーで鍛えた筋力がこんなところで役に立つとは思わなかった。
初めて自信を持って臨める行為だ。
M美の膝の裏と腰に手を回し軽々と持ち上げる。
「キャ、すごーい」
とても満足そうな笑顔をみせてくれた。
ベッドに連れてけといっても一歩しかないのでその場で一周してからM美の身体をベッドに横たえる。
真直ぐに伸ばした両脚の付け根にふっくら感を称えた三角形が強調されている。
今直ぐにでもひっぺがしたい衝動を必死に抑え、M美の首の下に腕を回し唇を軽く重ね、右の手のひらでM美の左胸に触れてみた。
初めて手の平で感じるオッパイはグレ-プフル-ツ大のマシュマロをプリンでコーティングしているような感じがした。
手の平全体で胸の形を崩さぬようにいろいろな角度から触れてみるとM美のあごが少し持ち上がる。
先端の可愛らしい乳首を人さし指の腹で触れるか触れないかぐらいのタッチをするとM美の全身がビクッと震えた。
左の胸をそのまま右手に任せ左の胸に唇をつけ舌を這わすとM美の息遣いがどんどん乱れ激しくなってきた。
もちろん俺の心臓は今にも爆発しそうな勢いで波打っている。
M美の手が俺の腰骨のあたりに伸びてそこで止まる。
俺はM美の手にそそりたつチンポをしっかりと握らせた。
もうなにがなんだかわからない。
胸を揉む手に力を入れるなと言い聞かせてもかなり力が入ってしまう。
M美もチンポを握った手を動かす訳ではないのだがとにかくしっかりと握り続けている。
もういいだろう、もう大丈夫なはずだ。
M美の左腰骨にかかる結び目に手を伸ばしスルリとほどく。
股間にあてがわれていた白い三角形が張力を失い一瞬で半分近くの大きさに変わる。
反射的にM美は露になったその場所に手を伸ばしかけるがその手を止めお腹の上に置いた。
M美のフイをつき左側をほどいてしまったので右側は結び目に一旦手を掛け一呼吸いれる。
M美は顔を真直ぐ上に向け目を閉じている。
心の準備は出来たようだ。
ゆっくりとヒモを引く。
M美の肩がわずかに震える。
ヒモを引く手にかすかな抵抗を感じる。
最後の結び目だ。
さらに力を加えヒモを引っ張ると張力が消え股間を覆う布切れがさらに小さくなったがM美の秘密をかろうじて守っている。
心臓が口から飛び出しそうだった。
M美もさすがに俺のチンポから手を離し両手で口元を覆い、
「恥ずかしい」
と呟く。
俺はなにもかも限界だった。
最後の白い布に手をかける。
それでも最後の理性で一瞬の間を置き、ゆっくりとめくりあげた。
カーテン越しに沈みかけた太陽と夕焼けの明るさがぼんやりと部屋を包み、M美の脚元から注がれる僅かな明るさが真っ白い股間を浮かびあがらせた。
M美が言う通りヘアはかなり少なく秘丘の上部にわずかにそよぐ程度だ。
白くふっくらとした丸みをたたえた秘丘のまん中にクッキリと刻まれる一筋のクレバスを覆い隠すものはなにもない。
「見えてるの?」
あまりにもストレートな表現は激しい羞恥の現れだろう。
顔が真っ赤だ。
俺は夢に迄みたM美の秘部を鑑賞したことで僅かながら落ち着きを取り戻した。
もう一度M美の肩口から両腕をまわししっかりと抱き締める。
“見えてるの?”
の問いかけに、
「すっごくキレイだよ」
と耳もとで囁く。
「あんまり見ちゃダメだよぉ」
と泣き笑いの表情が愛らしい。
「あとでまた見せてね」
「うん」
と何故かすんなり頷く。
軽いキスを交わしながらM美の膝と膝の間に右手を滑り込ませゆっくりと脚の付け根に向かう。
目的地まであと20cmぐらいだろうか?
両の太ももにキツク道を閉ざされる。
一呼吸の間を空けてM美は僅かに膝の力を緩め道を開いてくれた。
太ももの吸い付きそうな肌の感触を楽しみながらゆっくりと進む。
M美は両肩を震わせながら俺の背中にきつく抱きついてきた。
ついにM美の股間全体を手の平で覆い尽くし中指全体に柏餅の合わせ目を感じる。
初めて味わうその不思議なやわらかさにたとえようのない満足感を得た。
中指の第一関節を軽く動かしてみるとかなりの湿度と更なるM美の秘密に誘われる。
M美は激しい吐息とともにしがみついてくる。
俺自身もふたたび激しい興奮に包まれるが力を入れるな力を入れるなと呪文のように心の中で繰り返した。
M美は息も絶え絶えで、
「M美、M美、準備が出来たみたい」
とうわ言のように呟く。
もう、なにがなんだか本能だけでM美に身体を重ねると亀頭にニュルリという感覚を覚えた途端あっさりと挿入が完了していた。
ハッと我に帰り、M美の表情を覗き込む。
眉間に皺を寄せ口を半開きにし神経を一点に集中し何かを必死で確かめている。
俺は腰を動かさずにM美の表情だけをみつめていた。
「痛い?」
「・・・大丈夫」
痛いようだ。
ほんの少しだけ腰を動かす。
「痛い?」
「・・・・・・大丈夫」
相当痛いようだ。
俺は肘と膝で自分の体重を支えM美に負担をかけないようにし、一切の動きを止めた。
M美の呼吸の乱れのせいなのかチンポにM美の収縮を感じ暴発寸前だが、M美の様子だけを窺うことに決める。
どれくらい経っただろうか?
少しづつM美の呼吸が整いはじめてきた。
「だいぶ楽になったから少しだけ動いてみて・・・」
やっぱり痛かったようだ。
M美の反応をみながら出来るだけゆっくりと腰を動かす。
「それぐらいなら大丈夫そう・・・」
痛みはまだまだ伴うようだが間をおきながらゆっくりとゆっくりと腰を動かす。
一往復する度に快感に包まれることがなんとも申し訳ないのだがどうにもならない。
数秒だったのか数分だったのか定かでないがともかく激しい絶頂を迎えM美の腹に果てた・・・・・。
俺はM美の柔らかい胸に顔を埋めた。
M美が優しく俺の髪を撫でM美の温かさに包み込まれる。
なんともいえない充実感がそこにはあった。
M美も頬を紅潮させ、
「やり遂げた」
達成感を噛み締めているようだ。
しかし、M美の腹に放出した大量の精液が鼻につきとりあえず
「後作業」
にとりかかる。
枕元のティッシュボックスに手を伸ばしM美のお腹を掃除する。
「こんなに一杯でるんだねぇ!」
とこっぱずかしい一言を浴びせられる。
「M美にメチャクチャ興奮しちゃったからね」
「M美も凄くよかったよぉ」
と嘘でも言ってくれたのが救いだった。
俺は慣れた手付きでチンポの精液をぬぐい去る。
ティッシュをまるめてゴミ箱にと一連の動作を行った時にティッシュの一部がほんのり紅に染まっているのに気付きチラリと横目でM美を見た。
ベッドに敷かれた赤いバスタオルを引っ張り上げ股間をぬぐっていた。
陽が沈み、壁にかかるペンダントライトの淡い光が二人を包む。
初めての体験を終えた気恥ずかしさや照れくささをを適度に誤魔化してくれる。
全裸のまま身体をよこたえた二人は暫くの間いろいろなことを語り合った。
M美は一年の時から俺のことを知っていたという。
学食にはサッカー部シートや野球部シートと呼ばれる一角があり一般の生徒が座れない暗黙の了解があった。
なんの根拠もないルールなのだがそういう校風だから仕方がない。
三年の気まぐれで行われる部活対抗演芸大会は一年にとって地獄だ。
俺は満員の学食で何度も唄わされた。
俺は音痴である。
あまりにも音痴なため学食が爆笑のうずに包まれた。
ただの変な奴だった俺だが、いざサッカーとなれば中学経験があり試合には唯一出場する一年としても次第に有名になる。
M美も校内で開かれた試合を何度か見てたという。
「二年生になってYちゃんと一緒のクラスになってなんとなく嬉しかったんだよ」
Y君からYちゃんへ変わっていた。
「M美がおはようって声かけても、“おお”とか“ああ”しか言わないんだもん、嫌われてるのかなぁ、雑誌のこと軽蔑されてるのかなぁとか悩んじゃったよ」
雑誌のことで軽蔑されるのは俺の方だよなと思い、正直に話すことにした。
学校でM美を見てはドキドキしてたこと、M美が掲載された雑誌を今でも持ってること、それを見て何をしたのか、全てを語りそして謝った。
M美は兄の部屋にころがってるエロ本のことや周囲から言われる、
「オカズにしました」
に慣れてしまったこと、反面こいつじゃ抜けねぇよなと言われる女の子も存在することなど男の生理をそれなりに理解していると語ってくれた。
「でも、Yちゃんがそんなふうに見てくれてたってちょっと嬉しいかも、えへ、抜けないとかいわれたら泣いちゃうよね」
本心かもしれないが慰められた気がした。
突然M美が、
「あ、まだこんなになってるぅ!」
と照れ笑いをうかべながらチンポを人さし指で撫でた。
「裸のM美が横にいるんだ、こればっかりはしょうがないんだよ」
事実、おさまる気配はまったくない。
「M美ね、いずれエッチするときのことはなんとなく想像出来たの、怖くて痛いんだろうなぁって、でも裸を誰かに見られるなんて考えられなかったよ、きっと恥ずかしさで死んじゃうかもしれないと思ってたもん」
と言いながら羞恥に襲われ頬が染まる。
「最後にヒモほどかれた時は心臓止まるかと思う程恥ずかしかったんだからね」
口元に笑みを浮かべながら軽く睨みつける表情はドキリとさせられる可愛らしさだ。
「いや、ヒモをほどいた瞬間俺の心臓は止まりました」
とつまらないギャグをまぜ、
「もう一度見せて」
とM美の身体にかかる淡色の夏掛けをそっとめくった。
「恥ずかしいよぉ・・・」
と言うものの抵抗はしない。
相変わらず勃起状態では説得力がないのだが、放出の欲求よりも純粋にM美の身体を鑑賞したかった。
ペンダントライトが照らしだしたM美の身体は神々しさすら感ずる。
先程は無我夢中で気付かなかったが、曲線だけで構成される身体のアウトラインに思わず見とれてしまう。
「そんなにジィ~っと見られると恥ずかしいよぉ」
と言いながらも身体を隠さない。
俺はM美の一番恥ずかしい部分を凝視する。
正面から見た時の唯一の直線だ。
M美は自身のクレバスを2本の指で確認するようにひと撫でし、
「ここを誰かに見られるなんてホント想像つかなかった、今でも不思議な気持ちだよ」
「どんな気持ち?」
「う~ん、メチャクチャ恥ずかしいんだけどスッゴイドキドキする、う~んもうダメェ」
とさすがに両手で秘密を覆ってしまうが、顔はニコニコしている。
今度は逆に俺のチンポのさきっぽを人さし指でツンツンし、
「どうすれば、小さくなるの?」
と真顔で尋ね、続けざまに、
「裸や水着をみると必ず大きくなるの?」
「大きくなるのにどれくらいの時間がかかるの?」
などの質問を浴びせてくる。
結局、異性への疑問や好奇心を満たす為お互いの身体と時間をタップリ費やしてしまった。
恥ずかしいのだが、フイをつかれたM美のタッチに暴発し射精の瞬間まで見せてしまった。
玄関でキスをしてM美の家を出たのは23時を回っていた。
翌日は学校でどんな顔をすればいいのか悩みながら登校した。
おそるおそる教室に入るとM美はいつも通り女の子とはしゃぎ目も合わない。
M美はある意味我が校一番の有名人だ。
うかつに昨日のことは喋れないと思っていたし、俺からM美に声を掛けることはやめておこうと心に誓う。
昼休みになりいつものように学食のサッカー部シートで飯を食っていた。
「座ってもいい?」
とこちらの返事も聞かずに俺の隣に腰かけたのはM美だった。
一般の男子生徒が座ることはありえないのだが、たまに女子生徒が座ることはある。
もちろん誰かの『彼女』だ。
他のサッカー部員が目を丸くしている。
他の生徒達もチラチラこちらを窺っている。
学食の一件はあっというまに拡まってしまったが、この日を境に俺とM美は公然の仲になった。
10月の完全復帰まで残された時間は後僅かである。
俺とM美は寸暇を惜しむように二人の時間を作り共に過ごした。
日が経つにつれ、
「ずっと9月ならいいのに」
がM美の口癖になった。
そして9月最後の土曜日をM美の家でいつものように過ごし別れ際の玄関で
「明日の日曜日はどうする?」
と俺が問い掛けると、
「明日はお兄ちゃんが戻ってくるの、それで近所の叔父さん夫婦も遊びにくるって・・・」
と申し訳なさそうにつぶやかれた。
明日の日曜は9月の末日だ。
月曜にはとうとう10月に入ってしまう。
残念だが仕方がない。
怪我がなければありえなかった夢のような数日間だしこれ以上望んではいけないと自分に言い聞かせた。
「明日一日会えないけど月曜にな、あ、でもこれからは週末だけになっちまうけどその分一杯一杯遊ぼうな」
と笑顔で返事をし玄関のドアを開けようとした時だった。
M美の瞳が潤んでいる。
あれ?っと思って
「どうしたの?」
と尋ねると
「抱き締めて、キスして」
と声が震えている。
「ばぁか、さっきまで散々やったじゃん」
と言いながらもとりあえず唇を軽く重ねた。
「M美のこと忘れないでね」
「あ?一日だけじゃん、大袈裟だよ。じゃ、月曜にな」
と言うとM美の家を後にした。
日曜日は久しぶりにボンヤリ過ごした。
M美のいない時間はぽっかりと穴があいたような虚しさがある。
偶然、放課後の教室で出逢いあっという間に駆け抜けた数日間を思い出し、まるで『M美ワールド』に引きずり込まれたみたいだなぁとか明日から始まる現実(部活)にやれやれなどと考えていた。
月曜日の朝は部活の鬱陶しさとM美に逢える喜びがいりまじった複雑な気持ちだった。
まぁ、とにかくM美にあいたいといつもより早めに家をでた。
駅を降りると学校までの道中が何故か早足になってしまう自分に苦笑した。
「M美M美」
と心の中でつぶやきながら学校に到着し勢いよく下駄箱を開けると、ピンクの封筒が入っている。
封筒を手にとると表書きは『Yちゃんへ』。
裏をひっくり返すと『M美』となっていた。
嫌な予感がした。
別れ話だろうか?
ともかく教室でM美に会う前に中身を確認しておこう。
とりあえず部室に走り、おそるおそる封をきる。
『大好きな大好きな大好きなYちゃんへ。
今は月曜日の朝かな?それとも遅刻ギリギリだったから一時間目が終わったぐらいかな?どちらにしてもM美はその時間にA国行きの飛行機に乗っています。』
愕然とした。
『黙っていてゴメンネ、Yちゃんにだけは転校のことを告げようと最後まで悩みました。でも、転校のこと知ったらYちゃん空港まで来ちゃうもんね。部活に復帰する大切な日をそんなことで邪魔したくなかったし、見送りに来て貰ったらM美は飛行機に乗れなくなっちゃう・・・』
部活なんかどうだっていいじゃんかよ・・・
単身赴任のお父さんと一緒に暮らすことが決まったのは夏休み前のことで、お母さんは9月に入ると同時にA国へ、M美は転校の手続きのため一月遅れの出国が決まったため近所に住む叔父さん夫婦の家で生活していたそうだ。
小さい頃からお父さんの転勤続きで転校を繰り返したM美はその都度友達と別れる寂しさや、お別れパーティなどで周囲にかけるわずらわしさを避ける為いつしか皆への手紙を先生に渡し転校を黙ってもらうことにしたらしい。
教室で初めて話した翌日最後の荷物をA国へ送ったのだが慌てて「白いヒモビキニ」だけは部屋に残したという。
M美の家が殺風景で生活臭が感じられなくて当然のことだった。
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『ホントはあの日(教室で話した日ね)S子に頼んでYちゃんを誘ってもらおうと思ってたの、転校する前に一度でいいからYちゃんとお話ししたいなって思ってた。そしたらいきなりYちゃんが教室に入ってくるんだもんビックリしちゃったよ。次の日もグランドのYちゃんを見てて部室にいくか教室にいくか見張ってたんだよ(えへ)・・・』
そうだったのか・・・何故気付かなかったんだろう?
考えてみればM美は10月以降の話しをしたがらなかったし、すればかならず複雑な表情を浮かべていた。
『M美はYちゃんが最初の人でホントによかったと思ってます。Yちゃんも初めてでドキドキしてるが伝わってきたけど最初から最後迄M美のことを考えて優しく大切にしてくれたよね。周りの女の子から初体験の酷い話しばかり聞かされてたからM美はホントにホントに幸せでした。一杯イッパイの優しさで包んでくれてありがとう・・・・・・』
便箋の最後に写真が2枚留めてあった。
一枚はこの間一緒に撮ったやつだ。
そしてもう一枚は同じ時に俺が写したものだろうか?
M美の最高の笑顔が写っていた。
写真をひっくりかえすと5cm程の白いヒモが張られ裏書きがあった。
『自分の写真の中で最高の笑顔だと思います、M美はこんなに無邪気な顔でYちゃんを見てたんだね。Yちゃんにでなければこんな顔は出来ないんだろうね!それと一緒に張り付けたのはわかるよね?わからなければ怒っちゃうぞ。Yちゃんの心臓を止めた最後のやつだよ(恥ずかしい)』
便箋7枚に綴られた文字を読み終えた時には涙がとめどなく溢れてきた。
放課後まで何も考えられず結局部室で過ごした。
ふとガヤガヤとやかましいやつらが部室に近付いてきた。
他のサッカー部員だ。
みんなM美のことは先生にでも聞いたんだろう。
ガラの悪い連中だが気持ちのいい仲間だ。
無理矢理笑顔を作り一所懸命俺を励まそうとしているのが分る。
俺は黙って笑顔でスマンと頷き練習着に着替えると1ヶ月ぶりにスパイクを履いた。
久しぶりのスパイクの感触はなにはともあれ俺を現実に引き戻してくれた。
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