そのとき、私は大学4年の女子学生だった。
去年、某企業の面接を全裸で受けてしまった話。
その企業では2次選考で集団面接があるんだけど、去年はコロナの関係でオンラインで行うことになった。
企業から提示されたIDとパスワードでビデオ会議の形で決められた時間に入ることになっている。
その日10時から集団面接が行われることになっていて、マンションで一人暮らしをしていた私は体を綺麗にしたほうが印象が良いだろうと思ってお風呂に入っていた。
湯船に浸かりながらのんびりと構えてスマホをいじっていた。
時間は十分余裕があるはずだった。
ところが、企業から送られて来たメールを読み返してみると
「接続の確認のため9時50分には会議に参加してください。」
と書かれていた。
時刻は9時42分!
私は慌ててお風呂から出て体を軽く拭くと、裸のままパソコンを起動した。
そしてビデオ会議を開くがIDやパスワードがややこしくて思っていたより手こずった。
そしてやっと入るともう9時49分!
50分になると遅刻だし服を着る時間はなかった。
私はやむなく、映像無しで会議に参加した。
そしてビデオ会議が始まった。
面接官2人と応募者4人。他の人はビシッと正装を決めているなか私だけ映像なしだった。
10時スタートなら今のうちに服を着ようかな思っていたら、面接官が説明をはじめて聞き逃すといけないのでその場を離れられなかった。
そして各応募者に名前と音声が届いているかの確認を始めた。
一人ずつ聞いて行き、私の番になると真っ先に
「○○さん、映像は出せませんか?」
と聞かれた。
私は、
「すみません。うまく映像が出せないんです。音声は聞こえています。」
面接官は訝しそうにしながらも、
「そうですか。分かりました。」
と言い、それ以上は突っ込まなかった。
そして私は全裸でパソコンが置いてある机の椅子に座ったまま集団面接が始まった。
面接では、まず一人一人自己PRをしていく。
他の応募者はみな話が具体的で分かりやすく、私もうまく話せるかと緊張した。
そのため裸であることは気にしてられなかった。
そして私の番になった。
あらかじめ用意しておいた「大学時代の取り組み」や「私の長所」について話していったが、私の用意したセリフのなかに「ありのままに」というものがあって、そのときは「本当にありのままだよな」ってふと思ってしまった。
自己PRのあとは面接官が「当社で取り組みたいこと」「10年後の私」などの質問をしていき、挙手制で答えることになっていた。
そのとき「後の方だと印象悪いな」って思って早押しクイズみたいに出来るだけ早く「挙手」ボタンを押すことになっていたが、「挙手ボタン」のすぐ近くには「映像オン/オフ切り替え」のボタンがあり、私は間違って押さないように気をつけていた
そのあとは集団討論に入り「持続可能な製品」というテーマで20分間他の応募者と話し合う活動に入った。
そして他の3人と話す私。
私含め男女2人ずつで全員大学生のような若い人だった。
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他の3人はやはり話がうまく自分の意見を言いながらも、他の人にもさりげなく話を振り、うまく話をまとめようとする様子が感じられた。
それでも私はなるべく私自身の考えも答えようと奮闘していた。
全体の雰囲気は悪くはなかった。
みな自室から参加していながらも、残り3人がスーツや髪をしっかり整えているなか、私が裸でいることなど誰が想像するだろうか。
そして20分が経過すると、まとめや今日学んだことを一人ずつ話していく。
全員話し終わると面接官が
「では、これで集団面接を終わります。ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
「では、ご退出ください。」
そして私は退出ボタンを押そうとすると、次の瞬間全員の驚いた顔が!
「え?何?」
と思っていると画面の端には、一糸纏わずおっぱい丸出しの女性が映っていた。
そして、それは私自身・・。
私は慌てて退出したあと、シクシクと泣いていた。
ショックでしばらく動けなかった。
数日後、私の手元にはその企業から薄っぺらい封筒が来た。
–END–
『 ありのまま(23歳・♀)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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