男仲間でつるんで馬鹿をやる。学生時代が終わればそんな自由な日々も終わるだろう。
居酒屋に野郎が十人ほど集まって、柄にも無くそんな事をしんみり語ったのはもう7年ほど前のことです。
まぁ要約すると、「卒業旅行どこ行く?」という程度の話だったのですが。
しかし冴えない男子大学生が集まった所で、気の利いたオシャンティーな提案が出るはずもありません。結局出たのはグアムだとか、ハワイだとか、少し頑張っておフランスという面白くもない提案でした。
今思えばそこで終われば良かったのですが、若い私は余計な事を口にします。
「海外だったら風俗でも行ってきたら良いんじゃないか?話の種にもなるし」
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前日に父と卒業旅行の話を聞いていた私は、父の学生時代の話としてとある情報を聞いていました。つまり日本より「色々」緩い国のお話です。
スケベ共は飢えたケモノのように食らいついてきました。
そして人数が多いので、2グループは売春地巡り旅行へ、残り1グループはグアムへと組み分けをしました。
冒険する勇気の無かった真性のへたれはグアム組。つまり私です。
それから月日は流れて旅行後、それぞれ電話やネットで旅行の思い出話に華を咲かせていました。
私はその時就職のため、既に東京から福岡へ引っ越しが完了していました。そう告げると、四国の友人が所深刻な声で「会えないか」と訪ねてきます。
大変な事になった。そう語る友人の様子が尋常ではなかったので、慌ててフェリーで四国へ向かいました。
久しぶりにあった友人は日焼けしているのに、青ざめるという器用で奇矯な顔立ちをしています。聞けば旅行から帰って数日たってから、体に異常が出始めたらしいのです。
節々の痛みと、偏頭痛。それになんだか体が熱をもって異様にだるい。症状としてはそんな所でした。
心当たりはあります。彼は売春地巡りグループ、しかも一番はっちゃけるタイプのヤツなのです。本人もそこの所は自覚しているらしく、性病の相談をしたかったのだと言います。
こんな事親には言えない、お前言い出しっぺじゃん、詳しいだろこういうの。そう言い募る彼に、黙って病院まで付き添ってやった私は心底優しい男だと思います。
しかし病院の検査は何の問題もなし。それで話はめでたく終わり、とはなりませんでした。
現実に症状に悩まされていた彼はそれでは納得しなかったのです。それであーだこーだとぐずる彼は「死んじゃうかもしれない」なんて泣き言まで言い出しました。
どうやら彼の中では未開の地の未知の性病ウィルスが体を蝕んでいる事になっているようです。
横で聞いていたお医者様は呆れた顔で、彼をなだめながら問いただしました。君エッチの話ばっかりするけど、食べ物とかはどうだったの、と。
そうしたら出るわ出るわ、屋台の食べ物から、虫やらのゲテモノ食い、よくわからないキノコも口にしたそうです。
そのお医者様の話では、毒キノコの中には数週間後に症状の出るものもあるそうで、とにかく経過を見ようという事になりました。
そしてそのお医者様の言葉は正しかったのです。
7年たった今、彼は独身で元気に風俗通いをしています。
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