M田の話……。
地元にて仕事をこなしたM田は勤務後、地元の同僚数人とで繁華街へ飲みに行き、お互いに近況報告をしたりで盛り上がったそうだ。
二次会のカラオケ店を出た後、解散。
M田は宿泊先のビジネスホテルを目指し、繁華街の路地を抜けようとしていた。路地を曲がると前を歩いている3人組の後ろ姿がM田の視界に入った。
2人の男の間に女が挟まれる形で歩いていた。
向かって右側の男は左腕を女の腰に回していた。腰に手をまわしている男が女の首筋にキスをするような仕草をし始め、女は嫌がる素振りを見せて立ち止まった。その姿を見て左側の男が笑っている。酔っぱらいか水商売の女と客かだろうとM田は立ち止まった3人を追い越そうと足を進めた。
近づいてくると、3人組の人相が感じ取れた。
女の腰に手を回す右側の男は中年で禿げた肥満体の男。左側の男は俺やM田と同年代くらいの男。女も同じくらいかもう少し若いように感じた。
距離が縮まると、会話の節々が聞こえてきた。
ホテル……朝まで楽しむ……いっぱい出す…ヤりまくる……。
内容から卑猥な会話だということがわかる。
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男たちのイントネーションが関西弁だった。M田は日頃関西にいるからこそ、地元で聞く関西弁が気になり、追い越し際に3人のほうに視線をやった。M田は驚いた。女の顔は知った顔だったからだ。
女は……佳澄だった。佳澄もM田に気づいた。佳澄はM田に驚きつつ、一緒にいる男2人を親戚だと説明したが、佳澄は明らかに動揺していたらしい。夜の繁華街を男と歩いている姿をM田に見られたことに対し、誤解を招かないように説明しているにしてもかなり不自然な感じだったという。
しかも先ほどの卑猥な会話は………。
一緒にいた男たちは急いでいることをM田に告げるとと言い、足を進める。腰に手を回されている佳澄は引っ張られる感じで前に進む。今夜は親戚の集まりだからと叫ぶように言いながら、男たちに引っ張られていった。
異様さを感じたM田は3人を尾行しようとしたが、3人はタクシーに乗り込み、移動してしまったという。
その時点で俺に言うべきか迷ったらしい。
親友である俺には報告すべきだ。その一方で、この報告で俺と佳澄の仲を壊すことになるかもしれないと。
悩んだ挙げ句、俺に話すことを選び、関西に戻ってすぐに俺を訪ねたわけだった。M田の話を聞いた俺は平静を装いながらも激しく動揺した。
M田が自室に戻ったあと、俺はすぐさま佳澄に確認することにした。
電話をかけるが不通。至急の用件があるとメールもした。その夜は何度か電話したが繋がらず、眠れぬ夜を過ごした……。
翌日は佳澄のことが気になり、仕事に集中できない俺がいた。一睡もできなかったこともあり、体もきつかった。
このあと、俺は上司に休暇を願い出た。出向してきて以来、無遅刻無欠勤のうえ他部署の応援作業も文句言わずに引き受けていたことが評価され、1週間の休暇が承認された。
俺は地元に帰り、佳澄に会うことを決めていた。
M田から聞いた話を確かめずにはいられなかった。
この後、俺は地元で佳澄と会う。そして、様々な経緯ののちに真実を知る。
続く。
–To Be Continued–
『名無しさん(年齢30歳・♂)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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