10年ほど前の夏に、実際にあったことです。
僕は広告代理店に勤務するサラリーマンで、週末になると都内にあるクラブに通っていました。
その当時、クラブの常連の女の子で狙っている子がいました。
沢●エリカ似の美人だったので、エリカと呼ぶことにします。
エリカはいつもマサコという友達と一緒にクラブに来ていました。
このマサコという子もわりとかわいかったのですが、エリカとは比べものになりませんでした。
エリカは25歳で、身長は170㎝ちかくある長身。
健康的な小麦色の肌が整った美貌によく似合っていました。
僕はわりと背が高いほうなので違和感はありませんが、ふつうの男だとエリカは近寄りがたいタイプだったと思います。
あの涼しげで切れ長のクールな瞳で見つめられたら、ふつうの男なら圧倒されてしまうかもしれません。
エリカやマサコと直接話すようになったのはDJの知り合いを介してだったのですが、あとでDJに聞くとエリカは今彼氏がいない、とのことでした。
僕が本気になったのは言うまでもありません。
それ以来、僕とエリカ、そしてマサコの3人はクラブで出会うとよく一緒に飲むようになりました。
僕は当時、かなり調子にのっていたと思います。
働いてる会社も一流だし背も高いし、顔も悪くない。
だからエリカくらいの美人を手に入れて当然なのだ、という思いがありました。
なので、何回かデートをして「付き合おう」と言ってもはぐらかすばかりでなかなか応じてくれないエリカに少しムカついていました。
「…エリカはプライド高いからねー。でもわたしはKくん大好きだよ!」
そう言って、ほろ酔いのマサコは僕の腕に大胆に胸をあてて来ました。
カウンターでエリカが男につかまって熱心に口説かれているのが見えました。
この男はEといって、クラブの常連客です。
数回話したことがあるのですが、外見は若く見えても実は40歳ちかくのオヤジで、エリカに夢中のようでした。
(…あんたに釣り合う女じゃねえよ…)
身長も160cmくらいしかなく、エリカにたいして媚びへつらうだけのEに軽蔑の眼を向けると同時に、自分をほっといてEなんかの相手をしているエリカにだんだん腹が立って来ました。
あの時僕も酔っていて、とにかくセックスがしたかったというのもあります。
僕はそのままマサコのマンションに行ってセックスをしました。
エリカを嫉妬させてやりたいという、今から思えば大いなる勘違いもありました。
次の週末、僕はまたクラブにいました。
「…いいよなあエリカちゃん…あのカラダ…たまんねえよなあ…」
たまたま居合わせたEがとなりのソファで貧乏臭くちびちびと酒を飲みながら、カウンターで談笑するエリカをじっとりと粘りつくような眼で見ながら呟きました。
まるで涎を垂らさんばかりの猿を思わせるEの顔つきに、ぞっとするような嫌悪感とともに怒りを覚えました。
(お前みたいなチビのオヤジをエリカが相手にするはずないだろう。)
そう面と向かって言ってやりたいのを必死で押しとどめました。
「Eさんと知り合いだったんだあ!」
言いながらエリカとマサコはグラスを片手にソファにやって来ました。
自然にマサコが僕のとなりに座り、エリカがEのとなりに腰を下ろしました。
それだけでも、僕の中にムラムラと嫉妬の怒りがこみあげてきました。
マサコがトイレに行き、エリカに頼まれて酒を注文しにEが席を立った隙に、僕はエリカを猛烈に口説き始めました。
「…ていうかKくん、マサコとつきあってるんじゃないの?…」
それまで僕の話を黙って聞いていたエリカが、切れ長のクールな瞳で問いただしました。
「…つきあってねえよ。あれは酔った拍子でっていうか…」
ちょうどその時マサコとEが席に戻り、僕はそれ以上エリカと話すことができなくなってしまいました。
隣からマサコが甘えてくるのが無性にうっとうしくてなりませんでした。
しばらくするとEとともにエリカが席を立ち、僕はそのまま投げやりな気分で強い酒を飲んでいました。
そのうちにマサコが酔いつぶれて寝てしまい、何もかもバカらしくなった僕は、カウンターで相変わらずEに口説かれているエリカに近付きました。
「…電話してくれよ。…待ってるから。」
言い置いて、そのまま店を出てしばらく夜風のなかを歩きました。
エリカが自分になびかない理由がどうしてもわかりませんでした。
つきあってもいないのに、マサコのことを問いただされたのも癪にさわりました。
(いい女はお前だけじゃないんだ…いい気になりやがって…。)
タクシーを止めようと通りに立ち、しかし思い直してクラブに引き返すことにしました。
カウンターで最後にエリカに話しかけたとき、Eと話すエリカの表情になにか言いようのない悪い予感を感じたからです。
クラブの入り口が見えてきたとき、タクシーに乗り込むマサコとエリカ、そしてEの姿が見えました。
なぜか目の前が暗くなるような不安を覚えたのを今でも思い出します。
僕はひとり残されて、走り去るタクシーを呆然と見つめるしかありませんでした。
その後、僕は何度もエリカの携帯を鳴らしましたが電源を切っているのかつながりませんでした。
僕の脳裏に、最後に見たエリカの姿が何度もよぎりました。
その日はいつもより露出度の高いファッションをしていました。
体にぴったりと張り付くような、胸の谷間が見えるほどの黒のニットに、小麦色の最高の太股と大きめのヒップを強調するデニムのホットパンツにブーツサンダル。
そこに、粘りつくような視線を這わせていたEのあの顔つきが重なっていきました。
「…マサコとつきあってるんでしょう?…」
言いながら、わざと僕に見せつけるようにEとねっとりとディープキスを交わすエリカ。
「…ああ、このカラダ…たまんねえよ…」
黒いニットのうえからバストを揉みたて耳元で熱っぽく囁くEに身を任せて、僕を冷ややかにみつめたまま悩ましげな甘い媚声をもらすエリカ…。
自分の妄想にうなされて、その夜は朝方まで眠れませんでした。
ようやく連絡がついたのはエリカではなくマサコのほうでした。
「エリカならウチに泊まってさっき帰ったけど…。Kくんちょっとひどくない?」
酔いつぶれたマサコを置いて帰った僕を電話口で責める声が遠くに感じました。
安堵感で腰から力が抜けそうになりながら、僕は曖昧に応対して電話を切りました。
(そうだよな…フリーのプランナーだかなんだか知らないが、あんなオヤジにエリカ
がなびくはずないよな…)
僕は急に元気を取り戻して、月曜の夜あらためてエリカに連絡してみました。しかしやはり、電源は切られたままつながりません。火曜になってもつながらず、ついに水曜になり、僕の中にまた不安の黒い雲が湧き上がってきました。思い悩んだ末、マサコにもう一度連絡してみることにしました。マサコは僕の気持ちがエリカにあることを知ってどうでもよくなったのか、先日とくらべてサバサバとした口調で話しました。
「…エリカね…Eさんと3日間、温泉に行ってたんだって。」
それを聞いたとき、僕は一瞬その意味がわかりませんでした。
(Eと…温泉…?)
「エリカとEさん、つきあってるよ。」
茫然自失して黙り込む僕に追い討ちをかけるように、マサコが話しはじめました。
エリカはEの熱烈なアプローチについに根負けしたのだというのです。
今まで浮気性の彼氏とつきあっていたこともあり、自分だけを愛してくれる男を探していたエリカにとって、狂ったように自分をもとめてくるEの情熱にしだいにほだされていったらしいのです。
「…まさか…嘘だろ?…おれに当てつけるためにそんなこと言ってんだろう?」
僕は電話口でまくしたてましたがマサコは笑って取り合いませんでした。
「しかもね…エリカいわくEさんて絶倫で、しかも舐めフェチのヘンタイらしいよ…」
それを聞いたとき、僕は目の前が真っ赤に染まっていくような錯覚を覚えました。
「最初は1泊のつもりだったんだけどEさんが離してくれないって電話かけてきてさ。妊娠したらどうしよう、とか言ってんの。…すごくない?」
僕は脱力感のあまり怒りや嫉妬を通り越して、もう笑うしかありませんでした。
「…エリカってオヤジ好きだったっけ?…そんなにすごいんだ?」
自分の声が、異常なほど甲高くなっているのが分かりました。
「最初はタイプじゃないとか言ってたのにね。電話かけてきたときはもう、とろけそうな声出してたよ。いいなー、エリカ…私も素敵なおじさまにおかしくなるくらい責められてみたいかも…」
マサコによるとエリカはもともと年上の男が嫌いではなく、両親が早くに離婚したせいもあってファザコンの傾向があったようでした。
温泉宿という日常とは隔絶した空間で、3日間ものあいだ中年男のねっとりとしたセックスでからだの芯から狂わされて、お互いにもう離れられないことを確かめあったのだというのです。
「だからエリカのことはもう、あきらめたほうがいいよ!」
そう言ってマサコはあっさりと電話を切りました。
その夜、僕は夢をみました。
クーラーをつけていても蒸し暑くて、なかなか寝付けなかったことを憶えています。
それは現実と見まがうほどリアルな夢でした。
夢の中で、僕は体を縛られていました。
温泉宿の和室に、ほの暗い間接照明の灯りだけがともっています。
目の前の布団のうえに浴衣をはだけた女が横たわり、悩ましげに身をくねらせています。
輝くような小麦色の肌にしっとりと汗をうかべたその女は、もちろんエリカでした。
「…あッ…あッ…あッ…!」
せつなげに眉根をキュッと寄せ、たまらない甘い媚声をもらしながら、エリカはなにかに太股の奥を吸われていました。
見ると、それは一匹の猿でした。猿はエリカの太股の奥に毛むくじゃらの顔をうずめ、ねっとりとエリカの太股を撫でまわしながら、あふれる蜜を音をたてて舐めては吸いたてていました。
「…ああ、それだめッ…!」
エリカはたまらない声をもらしながら猿の頭を太股から引き離そうとしますが、舌はまるで吸いついたように離れません。
エリカが身をくねらすたびに、浴衣からはだけた果実のような双乳がプルンッと音をたてるように揺れています。
「…ああ、いく…またいっちゃう…!!」
なにかを吸いたてるような淫らな音とともに、エリカは猿の頭を太股ではさみつけたまま泣くような悲鳴をあげながら二度三度と激しく腰をふりたてました。
ぐったりとからだを弛緩させたエリカの太股から顔をあげたのは、Eでした。
猿のからだをしたEの股間にはすでに赤黒いものが天上を突き上げんばかりにそそりたっていました。
僕は大声をあげてわめきましたが、二人には聞こえないようでした。
まるで催眠術にでもかかったようにエリカが身を起こし、たまらなそうな甘えっぽい声をもらして男の腰にすがりついていくのが見えました。
「…ううンッ…うふンッ…!」
いまわしい猿のものを根元まで口にふくみ音をたててしゃぶっていました。
その瞳はまるで霞がかかったようにうっとりと濡れて、ゾクッとするような色香がありました。まるで、逞しくそそりたった獣の精力を賛美しているように見えました。
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汗ばんで乱れた髪をかきあげ、悩ましく身をくねらせながらエリカは布団のうえに四つん這いになっていきます。
まるで無言のうちにEと意思を交換しているようでした。
しっとりと汗ばんで小麦色に光る尻を、誘うように差し出すエリカ。
Eはその尻に顔を埋めていきました。
「…やあああンッ!!」
アヌスをねぶられ、エリカは自分の指を噛みながらいやらしく上下に腰をふりたてます。
「…もうだめ…もうきて…おねがいもう…」
甘えっぽく尻をふってねだるエリカに吸いよせられるように、猿の赤黒いものがゆっくりと子宮の奥に入っていくのがわかりました。
「…はあああううンッ…!!」
たまらない声をもらしながら腰を敏感に跳ね上げさせるエリカ。
「…お前はおれのもんだ…おれだけのもんだ…」
Eの口から獣じみた呻き声が聞こえるとともにじっくりと腰が律動をはじめ、エリカの口からすすり泣くような声が洩れはじめました。
「…あンッ…あンッ…いやンッ…!」
パンッパンッという湿ったいやらしい音が部屋に響きました。
エリカのからだを引き寄せてうしろから抱きつくように双乳を揉みたて、玉の汗のうかんだ背中に吸いついていくのが見えました。
「…ああ、すごいのッ…!!」
子宮の奥を何度も突かれまくったエリカは布団の上にくずおれるようにして昇りつめていきました。
とろけるようになったエリカを仰向けに横たえ、覆いかぶさるようにしてねっとりと舌をからめながら二人が延々と交わるのを、僕は静かにみつめていました。
Eはいつのまにか人間の姿に戻り、愛を囁きながらエリカの舌を吸っていました。
エリカの長い脚が男の腰にからみついていくのが妙に生々しく印象に残っています。
いまわしいはずの光景でありながらそこには野生の美しさのようなものがあり、僕は眼を離すことができませんでした。
不思議なことですが、そこにはどこか儀式めいた聖的な雰囲気さえありました。
エリカがEと結婚すると聞いたのは、その夏から約1年後のことです。
クラブではもうエリカとマサコに出会うこともなくなり、Eにも会ったことはありませんでした。
DJの知り合いから聞いたのですが、Eは完全にエリカの尻に敷かれており、夜遊びはまったくしていないとのこと。
僕にはもう嫉妬の気持ちはありませんでした。
あの二人はなにかしら引力のようなものが働いていたのかもしれません。
一度だけ、銀座の街でエリカを見かけたことがありました。
その美しさは以前にもまして艶やかに感じられ、僕はそこになぜか、女がもつ魔性のようなものを感じました。
–END–
『AG(年齢–歳・♂)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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