私は、一人旅が好きである。北海道にもよく行った。
北海道はグルメの宝庫だし、ススキノという遊ぶにはもってこいの土地だからだ。
その日私は、情報誌で「カワイイ」と思ったヘルス嬢を前もって予約し店に行った。
アヤノさんというその娘は、会うとカワイイが、影がある。あまり笑いもしない。気に入った。
私は、少しきつそうな女が大好きだ。逆に八方美人や、カマトトぶったのは、裏心というか信じられない気がした。
アヤノさんと話していても、何か弾まない。返すけど当たり前のやり取りで、詰まるのだ。
これは手ごわいな。
「寒くないですか・・・服脱いでください。」
「写真で見るより、もっときれいですね。」
「ありがとうございます。」嬉しそうじゃないのだ。沈んでいく。
「東京から来たんだけど、この辺でうまいラーメン屋あります?」
「路面電車か地下鉄で、郊外に行った方がうまい店が多いんですよ。」
「横丁って地元の人行かないって言いますもんね。」
「そうなんですよ。30年前から変わっていなくて、東京って逆にうまい店多いですよね。」
食べ物の話になると弾んできた。
服を脱ぐと、アヤノさんも服を脱いだ。小柄だが、胸の形、太もも、デルタ地帯がきれいで、天は二物を与えるんだ、と思った。
「シャワー浴びましょう・・・」背中を見せる!あっ!!!
腰の辺りに、立派な刺青(タトゥーって感じでない)が見えた。
きれいだ。
若くてきれいなのに、一見不釣合いな花柄や、菩薩のようなものが、堂々と・・・触りたくなった。
シャワーを浴びると、キスをしてきた。
あっさりとした仕草で、キスもさらっとしていた。
不器用さというか切ない感じで、好きになった。
私の大きくなりつつある、チンコを洗っている。
体に互いに泡を塗りたくり、シャワーで流し、時々しごく。
ベットに移動して、舌で全身を舐め、チンコを舐め始める。
特別上手い訳でなく、たんたんと進んでいき、手コキを交え、発射した。
何でも気持ちだと思う。
きれいで、いい体でもオナニーのほうが良かったりする。
ブスでも気持ちがこもっていれば、最高だったりする。
彼女の容姿で、何で風俗で・・・?素朴な疑問だ。
何か訳があるのだろう。聞くのはタブーだが、・・・まだ少し時間がある。
「何か悩みある?ちょっとしずんだようだけど・・・」
「お客様・・・わかりますか・・・」
「わかるよ。こういう身の上はなしきくの良くないけど、気になってさ。良かったら話してごらんよ。」
「私のコレ(刺青)驚いたでしょう。私実は、ヤクザの三下とつきあっているんです。まだペーペーで敵対する組のものと揉めて、痛い目にあわせて、ムショに入ることになって・・・彼は強がって『ツトメにいって男を磨いてくるわ。お前、もう待ってなくていいからな。もう忘れろ。』って自分もつらいはずなのに・・・」
「そうだったんだ。何か据わっているというか、落ち込んでると思ったんでね。つらかったね・・・彼のこと、当然まだ好きなんだよね?」
「そうですけど、彼もムショに入ってる時に、私が待ってると思うとかえって、つらいんじゃないですからでしょうね。硬派だけど優しいんです。お客様と同じで。すみません。お客様にこんな話をして・・・お客様が恋人なのに・・・ごめんなさい。」
「いいんだって。でも、彼のためにここで働いてるの?」
「違うんです。ここでのお金も受け取らないんです。辞めろって言うけど・・・私花屋をやりたくて手っ取り早く貯めようと・・・ОLの人間関係が苦手で・・・この店で働いていたら彼の組とつながっていて、彼も度々見回りに来て・・・じっと立っている姿にひかれて・・・」
涙ぐむアヤノさん。
「そう簡単に忘れられないよね・・・ここって辞められるの?」
「問題はないと思いますけど・・・」
「東京に来てみるっていうのもいいかもね、街の忙しさで、忘れるだろうし、この街だと思い出すだろうし。両親は?」
「釧路の田舎のほうに・・・ほとんど帰ってなくて、疎遠です。」
「そうか。東京来てみるか。いきなりでびっくりするだろうけど。住む所見つかるまで、俺の部屋にいればいいし・・・この環境は良くないと思ってさ。やった俺が言うのも変だけど。」
「本当ですか・・・いってみたい気もする・・・」
彼女に連絡先を渡し、札幌を後にし、「来る訳ないよな」と思っていたら、何日か後に連絡があった。
えっ!!こんな事って!決断が早い。
彼女が上京し、私の部屋を見るなり、「えっ、こんないいところ、住んでいるんですか・・・本当にしばらく居ていいんですか・・・」
アヤノさんの普段の格好は格別に美しかった。
北〇景子のような。普通の人が見たら、背中に刺青があるとは思わないだろう。
「東京には花屋いっぱいあるし・・・この辺にもあるから、回ってみるといいですよ」
彼女を取り巻く、環境が変わって、少し明るくなって、花屋で働き始めても、影はあった。
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彼の存在がある限り、消えることはないだろう。
彼女は私の部屋を出て、アパートを借りても、付き合いはもちろん続いていた。
ベットでの彼女は、以前と比べて乱れ、行為自体ネットリと濃厚になっていた。
バックで犯していて、背中の刺青が、汗ばみ、微かに揺れている。
手で触っても、ほとんど感覚は変わらない。
彼女の肌がきれいなのと、彫り師がすごく上手な人なのだそうだ。
伝説とも言われる人で、彼の背中にも、びっしりと入っているそうで、セックスは直線的で、あっという間に終わり、私の方がいいというけれど、広い背中の刺青の背中で、抱かれるのは堪らなかったそうだ。
かなうわけない。ヒリヒリとした生き方で、容赦がない。
体でつなぎとめても・・・心は・・・彼にある。
そしてその時はやってきた。1年半後、彼女は・・・
「突然ごめんなさい・・・札幌に帰ります・・・あなたには感謝しきれないけど、でもどうしても・・・あの人が出所するんです・・・ごめんなさい。やっぱりわたし・・・」
「なんとなくわかっていたよ。いいんだよ。彼偉くなるだろうから・・・君そちらの世界に行く覚悟は・・・」
「できてます。そんな心配まで・・・ごめんなさい。ありがとう。東京の花屋とあなたとの生活楽しかった。忘れません。」
彼女との恋は、最初は唐突で、最後もあっけなかった。
彼女の背中の刺青も、ヤクザの彼への恋心も簡単には消えるはずもないのだと痛感した。
もちろん一般的に見れば、私の方が、まともに見えるが、好きになるのに立場も、地位も関係ないのだと思います。
彼女は今、どうしているだろうか・・・極妻か・・・。
–END–
『 インユーテロ(年齢–歳・♂)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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