デパートのバーゲン会場は人でいっぱい。普段はおとなしい私もこの時ばかりは、女レスラー並みのあらあらしさで、とにかく一円でも安くて良い品を買い求めんものと、血眼になるのでした。衣類は買い終わり、あとは缶詰売り場で物色という段になりました。なにしろ先に買った衣類だけでも一抱えほどあり、それを持っての買い物ですから、ほとんど人間業とは思えませんでした。その私の目に、いろいな果物の入ったゼリーの小瓶の詰められた箱が飛びこんできました。値段も手ごろで、さっそく私が腕をのばした時、横から割りこんできたどこかの女性が、その巨体を利して細い私をはね飛ばしました。
「だいじょうぶですか」とっさに男の人が私の体を支えてくれなければ、人々の足の間に私は転倒していたにちがいありません。
「ありがとうございます。つい、あの品物に気をとられていたもので」
見ると、さっきの女性は、巨体のためなかなか例の箱に手が届かないありさまでした。
「あれですね」彼はいうと、さっと腕をのばして箱をとってくれました。
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「それ、あたしの」
と、女性がわめくも、ゼリーのビン詰めは私の手におさまっていました。
「ああ、目当てのものが変えて、ほんとにお礼のしようもありませんわ」
「はは。かまいませんよ」
私は彼の快活そうな笑顔にひかれました。歳は同じくらいでしょうか。
「あの、よかったら、どこかでお茶でも」
「いいですね」
彼はそれから少しの品物を買い込んでから、紙バックをさげて私と近くの喫茶室に足をむけました。
「家内にいわれていたものが買えました」
それを聞いて私はがっかりしました。未婚であってくれとさっきから、祈っていた私でした。そういう私自身既婚者なのですが、この気持ちは多くの既婚の女性にも理解できると思います。
「あの、よかったらこれ、どうぞ」と私は、いくつかのゼリーを彼にわたしました。
「気をつかわなくていいですよ」「わたしの気持ちです。ほんとはもっと……」その先は言えずに私は、目で心の中を彼に伝えました。彼にもぴんときた様子です。
「しばらく、歩きませんか」
私と彼は夕暮れの迫るデパートの外に出ました。20分もいっしょに歩いたころ、私はこみあげてくる衝動にかられるように、
「このままいつまでも歩いていたいですわ」
彼は私の目をじっとのぞきこみました。それから30分後、二人はホテルの一室で向いあっていました。バーゲンで知り合った仲ですが、私の彼に対する気持ちはけっして割安ではありませんでした。
彼は私を抱きあげると、ベッドの上にそっと寝かしつけました。一枚、一枚、彼の手によって衣服がはがしとられていきます。だんだんと肌があらわになっていくにつれて、はやくも身もだえする私でした。彼は逞しい体をしていて、肌にふれるとぴんとはじけるようでした。彼はそして巧みな愛撫で私の体をひらいていきました。私はしだいに、彼の物を滑らかにうけいれられるように、体の芯から濡れていきました。それからの一時間余りの間、私は深い快楽の海に溺れ、自分でも淫らに思えるような喘ぎ声を絶え間なくあげ続けていました。
私が最後に快楽の極みから落ちたとき、彼もまた同時にイッていて、二人の上げる声が絡まりながら室内に響き渡りました。
私がシーツにしどけなく肉体をなげ出していると、彼が一個のゼリーのふたをあけて手渡してくれました。まだ覚めやらぬ快感に身を震わし続ける私のために、彼は自分の口に含んだゼリーを、優しく口うつしで食べさせてくれました。
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