その日は朝から暑くむして、おまけにエアコンが故障しているとあって私は、ベランダに椅子を出して、風邪にあたりました。
集合住宅の2階の部屋で、私のいるベランダは繁みがうまく影をつくって向かいの住宅からの視線を遮断していました。
私は上半身裸になって、ゆったりと椅子にもたれかかりました。
ふと目の端が白いものをとらえました。
みると、ボードでさえぎられた隣のベランダに干された洗濯物が風邪にゆらいで見えているのでした。
それが女物のパンツだとわかって、私は目をそらしました。
しかしいったん気になったものはどうにも無視できずに、再び私はそのパンツに目を向けました。
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最近ここに引っ越してきた私は、隣に誰がすんでいるのか知りませんでした。
ときおりトイレを流す音とか、襖をしめる物音などはきこえますが、その音をたてるのが老若男女いずれかも、わからなかったのです。
がいま、あのパンツが私に隣人の性別とおよその年代を教えてくれました。
手にとってみるわけにいかないので、その空中に垂れさがっているバンツの布地から推し量るしかありませんが、もしかしたらTパックかもしれません
私は頭の中で、あのパンツをはく女性の姿を思い描いてみました。
肉付きよくしまったあしが、あのパンツからしなやかにのびて、躍動する様がみえるようです。
私はむしょうに、隣人の顔がみたくなりました。
まだ一度も挨拶にもいってないことを思いだして、ずくに私は玄関を出て、隣室のドアのチャイムをおしました。
「はい」ざらついた声とともに、五十代とおもわれる女があらわれました。
「隣にこしてきたものです」「あら、そう。よろしくね」まさかあの下着はあなたのものですかともきけずに私は、「よろしくお願いします」ぺこりと頭をさげてからいそいでドアをしめました。
あの女性があんな下着を…。
そりゃ誰がどんなパンツをはこうと自由というものですが、私にはいまの女性があの下着をはいて街をあるいているところを想像するのは一苦労でした。
しばらくして、チャイムが鳴り、でてみるとささきの女性がたっていました。
「よかったら、お茶でもいかが」むげに断るわけにもいかず、私は再び隣室に向かいました。
室内は小ざっぱりとして、やっぱり女性らしく、壁や棚に飾り物が多くみられました。
「隣同士なんだから、仲良くしましょうね」畳に座った彼女が、スカートから出ている膝をさらにずらして言いました。
私はこのとき、もしかしたら彼女が、わざとあんなところにパンツをほしていのではと疑いいはじめていました。
まるで疑似餌におびきよせられる魚のように、まんまと私は彼女に接近してしまったのでは。
ふとみると、彼女の膝はさらにひろがり、さっきみたようなパンツが、その奥にあらわにのぞいているのがみえました。
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