(前回は「高校生カップルの長い夏13」を参照)
桜子は黙って三角座りをして、隆輝の方を見ていた。
桜子が大人しくしているようだったので、拘束はせずにおいていた。
桜子は隆輝の黒いトレーナーなどを身につけていて、髪が長いことを除けば少年のようにも見える。
桜子は隆輝に監視されながらも、ずっと部屋にいた。
しばらくすると、隆輝は雑誌や軽食などを用意したり、テレビを見て良いことにしていた。
桜子は今、隆輝という男に監禁されている状態であったが、部屋から出られない以外はほぼ自由だった。
夜になると桜子は奥の部屋に連れて行かれ、布団を敷いて寝るようだった。
隆輝の部屋は広いワンルームのような部屋であったが、奥の部屋を引き戸で仕切り個室状にすることも可能だった。
部屋には窓もあるが窓の鍵には結束バンドがされていて、桜子の使う部屋には刃物を一切置かないようにしていた。
桜子のいる部屋から外に出るには、隆輝のいるワンルームの部屋を通らなければならない。
隙をついて逃げられるリスクもあるが、隆輝は桜子の体を拘束せずにおいていた。
彼女は今のところ大人しい。
まぁ、油断させるためかもしれないが・・
・・・
その次の日も、桜子は隆輝と一日中部屋で過ごしていた。
桜子を部屋に置いたまま買い物には行けないので、隆輝はずっと部屋にいたが、桜子に何かおかしなことをすることは全くなかった。
その翌日、隆輝はその日仕事が入っていた。
隆輝は運び屋だけでなく、運送のアルバイトの仕事をしていた。
前日の夕飯のとき、そのことを隆輝が桜子に伝えると、
「そうなんだ。じゃあ私を縛ってもいいよ。」
「え、いいの?」
意外な顔をする隆輝。
「だって、逃げられたら困るでしょ。」
そして今。
隆輝が着替え終えて仕事の準備をすると、ロープを持ってきた。
桜子は少しも嫌な顔をせずに手を後ろに回した。
「ごめんな・・」
「ううん、いいの。」
桜子は隆輝に縛られていた。
桜子の後ろ手首を縛って結び目をつくったあと、不意に桜子が
「この縛り方だと、ほどけるからやり直した方がいいよ。」
「え?・・なんで?」
不思議に思う隆輝。
このまま黙っておけば桜子は逃げられたのに・・
そう思いながらも、桜子が
「ここで強く引いて、あとここで結んで・・」
など、桜子はなぜか説明がうまかった。
そのあと桜子は猿ぐつわをはめられて、隆輝は外に出て行った。
桜子は隆輝がドアを開けて出て行くのを見送ったあと、しばらく考えごとをしていた。
桜子自身も、先ほど何も言わなければ逃げられたかもしれないと後悔する面もあった。
一方で古川のときもそうだったが、相手が何を考えているのか、桜子にできることはないのか、それを知りたいという面もあった。
・・・
数時間後。
外は晴天だが電気のついてない部屋で縛られて監禁されている桜子だが、不思議と苦痛はなかった。
こういう目に遭うことに慣れてしまったのかもしれない。
大声で呻いたり、何らかのサインを外に送れば助かるかもしれないが、誰もいないかのように大人しくしていた。
桜子は、新たな誘拐犯である隆輝が割と気弱で不器用そうな男であることが気になっていた。
運び屋の仕事をしていたというが、具体的に何を運んだのか、なぜその仕事をしなければいけなかったのかは分からない。
24才で一人暮らししているのは分かるが、本職は何か、両親や兄弟はどこにいるのか、恋人や友人はいるのかなど、気になることばかりだ。
桜子が隆輝のことをもっと詳しく知るには、今ここで大人しくしている他はなかった。
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・・・
さらにそのあと・・
桜子は縛られて動けないまま床に腰を下ろしてソファーに頭を乗せたり、足音を立てないように少し歩き回ったりしていた。
隆輝のTシャツやハーフパンツを身につけていてサイズは大きめだった。
桜子は少し歩いて洗面台の鏡を覗き、自分自身の拘束されている姿を見て羞恥心を感じながらもドキドキした感情があった。
実際にMっ気のある桜子は縛られることに奇妙な快感を感じていた。
そのあとも桜子は少し部屋を動き回ったり、ソファーでゆっくりして囚われている状況を楽しんでいた。
桜子は監禁されて、男に悪戯される様子を妄想していた。
その男は、隆輝だったり、古川だったり、さらに最愛の彼氏である博正だったり・・。
それでいて手を後ろで固く縛られているので自分の体に触れることはできず、悶々としていた。
・・・
日が沈んだ頃、隆輝が帰ってきて、すぐに桜子を縛っていたロープをほどき、猿轡を外した。
「ごめんな。痛くなかった?」
「ううん。大丈夫。」
隆輝はスーパーで惣菜などを買ってきたり、スイーツも買ってきていた。
そのあと、話すこともなく黙々と食べていたが、桜子がスイーツを食べるのを微笑ましく見る隆輝だった。
-END-
『あしはら刑事(45歳・♂)』さんからの投稿です
ありがとうございます。
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