俺が高校生のとき、船で海を渡り通学していた。
俺の家は港の近くにあり、フェリーに乗って30分程度で対岸の港に行くことができた。
対岸の町に行きたい高校があったことと、船で通学するって面白そうだと感じその高校に行くことを決めた。
なお俺の住んでいるところも高校のあるところも離島ではなく、行くところはいくらでもあるため、俺みたいに海を越えて通学する生徒は他にいないようだった。
毎朝、自転車に乗って港に行き、自転車とともに船に乗る。
対岸の港から降りたあとは、町を自転車で進み、丘を登ると俺の通う高校がある。
家からの時間は1時間足らずであるが、海を越えることから遠くに行くように感じる。
高校では、周りは当然知らない人ばかりであり、毎日フェリーに乗って来ることを珍しがられたりしていた。
部活のある日は暗くなってから帰ることもあり、夜の暗黒の海は波の音だけが響き不思議な感じがする空間だった。
毎日海を渡り通学し、帰りも船に乗って戻ってくる。
慣れてくると、スマホを弄りながらももうすぐ港に着くと分かったり、船が自分の家のように感じることもあった。
夏頃、俺は「海の男」と呼ばれるようになった。
きっかけは水泳の授業でのプールサイドで、たまたま片足を飛び込み台の上に乗せてプールを眺めていた様子がボラードに足を乗せている船員を連想させることや、現に船で通学していることだった。
俺自身も、この呼び名を喜んで使っていた。
・・・
2学期になると、仲の良い女の子ができた。
彼女は汐見(しおみ・仮名)、同じ高校1年で他のクラスの子だが、ふとしたきっかけからよく話すようになった。
汐見とは高校のある町で、放課後に一緒に過ごした。
部活のない日はちょっとしたサイクリングで山に行ったり、街に行ったりしていた。
汐見たちの町はまだ知らないところだらけだったが、汐見に案内してもらいだいぶ詳しくなった。
夕暮れが迫ると、汐見とともに港まで自転車を走らせた。
船内から港を見ていると、汐見が名残り惜しそうに俺を見送ってくれた。
夕闇の中、俺を見送ってくれる女の子の姿は何か切ない感じもした。
汐見はいつも俺を見送ってくれた。
あるとき、俺は汐見に俺の町に来ないか誘ってみた。
だが、汐見はなぜかそれを拒否した。
はじめは、お小遣いの問題や知らない町に行くのがこわいってことかなと思って、俺が汐見を迎えに行き一緒に船に乗ることも提案したが、それでも汐見は微妙な様子だった。
そのため、デートは休日も含めて汐見の町でしていたが、俺は汐見にそれとなく聞いてみた。
すると汐見から聞いた話では、汐見が小さい頃に汐見の父が港から船で出かけて行ったまま、戻って来なかったという。
汐見は母と、港から父が船に乗るのは見ていて、そのときは仕事で出かけてその日のうちに帰ってくるはずだった。
だが、父はいつまで経っても帰って来ないし、何か事件や事故などに巻き込まれたという連絡もなかった。
父は夜逃げしたのか、或いは何か事件にでも巻き込まれたのか、未だに分からないそうだ。
それ以来、汐見は船がトラウマになり、港町に住んでいながらフェリーに乗ったことが一度もなく、俺が住んでいる地域に車などの他の手段で行ったこともないそうだ。
俺が港から出るとき、汐見が心配そうに港までついてきたり、いつも悲しい顔に見えたのはそういう理由もあるのかと切なくなった。
それからしばらくすると、汐見は朝も港で俺を待っていてくれるようになった。
俺が港から出てくると、
「おはよう!」
と嬉しそうに挨拶する汐見。
そのあと、自転車で朝日の昇る街を軽快に走らせ、坂道を駆けのぼる俺たち。
毎日、朝の清々しいなか汐見と二人でいられるのは最高の気分だった。
・・・
そして2学期も終わりに近づき、クリスマスを迎える頃。
汐見がある日、
「○○(俺)の町に行ってみたい。」
と言い、俺は意外に思った。
話を聞いてみると、子供の頃から船に乗ることはトラウマだったが、俺が毎日船に乗り朝には毎日戻って来ることから少しずつ安心感を持ったことや、汐見にとって海の向こうは遠景が見えるだけの未知の世界であり、俺が生まれ育った土地を見てみたいという気持ちがあるからだった。
12月24日の朝。
俺は朝一の便で、汐見の町に向かった。
外はまだ薄暗いが、暗闇の海の向こうには汐見が待っていると思うとワクワク感が止まらなかった。
汐見の待つ港に着く頃には、外は明るい朝になっていた。
船から降りると、港の入り口のところで汐見が待っていた。
紺の可愛らしいコートにピンクのマフラーの汐見は寒そうだったが、俺の顔を見て笑顔になった。
そのあと、折り返し俺の町に向かう船に汐見と一緒に乗った。
お互いに自転車は持ってこなかった。
汐見が船に乗るとき、どことなく緊張しているように見えた。
汐見はこのフェリーを含めて、今まで船に乗ったことが全くなく、旅行も車で隣の県まで行ったりするくらいで、知らない土地に行く機会ってのがあまりなかったらしい。
俺の住む町は海を、隔てて反対側に薄く見えるものの実際に行くのは初めてで不安と同時にワクワク感が止まらないらしい。
そして出港すると、海の上を流れるように進むフェリー。
汐見は俺と手を繋ぎながらはじめはドキドキしていたようだが、海の雄大な光景に笑顔になっていった。
航路の中間地点辺りまでくると、周りは一面の海であり甲板で海を眺める俺たちは何かいいムードだった。
海で鴎が見えてくると、汐見は嬉しそうに眺めていた。
そして、フェリーは俺の町の港に着いた。
汐見と手を繋ぎながら船を降りる。
汐見は、初めて外国に来たときのようにドキドキした様子だった。
俺は汐見と一緒に生まれ育った港町や、海辺の公園、神社、出身の小学校の辺りを歩いた。
汐見は興味津々に色々なものを眺めていた。
途中で、小・中学校の地元の友達とバッタリ会った。
友達が汐見を見て、
「彼女?」
と言ったとき、俺たちは照れくさくお互いを見合わせた。
自転車でなく徒歩で街を回るのは、汐見とゆったりとした時間を過ごすことができてとてもよかった。
夕方、少し薄暗くなってくると俺たちは街の中心に行った。
「うわぁー、綺麗だね!」
そこは、クリスマスのイルミネーションが輝く綺麗な装飾だった。
駅前の商業施設から商店街にかけて色とりどりのイルミネーションで輝いていた。
そのあともずっと汐見と過ごしたかったが、汐見を送って行き、俺も戻ることも考えると時間は限られていた。
何か、汐見と思い出になることをしたい。
街はだんだんと薄暗くなり、街のイルミネーションの灯りが輝いていた。
しばらく街を歩いたあと、俺たちは港まで行き、汐見の帰りの分の切符を買った。
フェリーの出航時刻までは時間があるが、万が一売り切れになると汐見が帰れなくなるからだった。
切符を買ったあと、フェリーの出航時刻まで1時間以上はあった。
外は暗くなり、だいぶ寒くなっていた。
俺たちは暖房のきいている港の建物の中を歩いていた。
土産物屋があったり、海の見えるロビーがあったりしたが、さらに進んでいった。
そして階段を上がり、二階に上がって行った。
特に意味はない。
港の中がどうなっているのか、汐見と探検してみたいだけだった。
二階の何もなく誰もいない廊下を歩いていると、休憩室のような電気のついた小部屋の扉が開いていた。
なんだろうと思っていたが、中には誰もいないし周りにも誰もいなかった。
部屋の中には港の見える小さな窓と机、そして仮眠用なのかベッドがあった。
俺は「勝手に入るのはまずいかな」と思いながらも、何かに誘われるようになかに入って行った。
汐見も同じだった。
そして、見られるとまずいこともあって扉を閉めた。
汐見と部屋を見ながら
「不思議な部屋だね。」
となんかいいムードになる俺たち。
俺たちはベッドに腰掛けながらしばらく話していたが、なぜか心臓が高鳴る。
汐見も同じような気持ちだろう。
フェリーの出航まで1時間を切った。
俺は待ってられなかった。
そして、俺は汐見を抱き寄せキスをした。
汐見は抵抗しなかった。
「あ、あ、いい!」
汐見は嬉しそうに俺と舌を絡ませていた。
そのあと俺たちはコートを脱いだ。
汐見のカーディガンからは胸の膨らみが目立っていた。
そしてまた、抱き合う俺たち。
抱き合い、キスをしながらお互いに脱がせていた。
「なんかすごくいい!」
「俺もだよ!」
そして、俺たちは裸になりベッドでまぐわっていた。

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部屋の電気を消していちゃつく俺たち。
窓からは外の光が入り、俺たちの体を照らしていた。
汐見の形のいいおっぱいを揉み、あそこも触った。
汐見は嬉しそうに悶えていた。
俺の逸物はキンキンに勃っていた。
俺は汐見の胸の谷間に顔を埋めて最高の気分だった。
そして、だいぶ興奮してくると俺は仰向けの汐見の上で汐見に手コキされながら絶頂を迎えた。
汐見の胸や肩に精液が飛びちった。
「わ、あ、温かい!!」
汐見は嬉しそうに叫んだ。
そのあと、俺たちは服を着て何事なかったかのように港の1階に戻った。
帰りは汐見が一人でフェリーに乗る。
俺が送って行ってもよかったが、俺と一緒に過ごしたことで安心できたらしい。
二人でフェリーを待っていた。
そして、汐見がフェリーの階段を登る直前、俺は別れを惜しむように汐見とキスをしていた。
俺たちは暖かい舌を絡ませたままずっと固まっていた。
-END-
『カントリー(23歳・♂)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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